2682小児神経診断エラー学
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脳波:採血時に意識消失という点が気になったので脳波検査の途中に座位で採血を行って記録した.図1aに示すように採血前には後頭部優位のα波の描出があり,心拍60/分であった.採血開始後1分でいったん心拍は90/分前後となったが(図1b),1分30秒後には洞性徐脈がはじまり(図1c),2分後には意識混濁(図2a),脳波も徐波化,心電図は3秒以上P波のでない洞停止となり顔面蒼白,発汗,眼球偏位を認めた(図2b).直ちに酸素投与と背臥位にしたところ,速やかに意識は回復した(図2c).その後,血圧は異常なし,神経学的所見も検査前と比較して変化は認めず.その後,VPA中止,ミドドリンの内服を3か月行ったが,本人の希望で中止,採血の機会や前兆があればすぐに臥位になることを指示し,同様のエピソードはない.診断エラーの分析・教訓本症例は,脳波異常はなく採血時の心電図変化を伴う失神エピソードから神経調節性失神と診断した.失神とてんかんとの鑑別に王道はなく詳細な病歴聴取と 図1  採血時の脳波-心電図1[カラー口絵4,p.iv]採血前の脳波-心電図に異常はない.EOG:electrooculography, ECG:electrocardiography, surface EMG:surface electromyographyF3−A1a 採血前b 採血開始後1分c 採血開始後1分30秒F4−A2C3−A1C4−A2O1−A1O2−A2EOGECGsurfaceEMG18915 てんかんか失神か,それが問題第第第第第第123

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