2682小児神経診断エラー学
7/14

インフルエンザ脳症の発生が多く,わが国の疫学に準じた『Preventing Malprac-tice Lawsuits in Pediatric Emergency Medicine』の考察が必要なのかもしれない. 2 救急医療と「診断エラー」救急医療における「診断エラー」とは,そもそも何を意味するのだろうか.初見の患者に対して,多忙な現場におけるさまざまな制約のなかで,最終診断を正確に診断できないことが,どこまで問題になり,ときに責められ得るものとなるのだろうか.前出のような経時的変化がある疾患群の,ごくごく初期に最終診断に至る自信が,読者にはどれほどあるだろうか.少なくとも筆者にはその自信はなく,あるとすれば間違いなく誤診をする自信だけはあるとさえ思っている.少なくとも,そうした危機感をもって救急医療はじめ医療全般に対して,常に謙虚で真摯に接し続けることこそが,診断エラーを防止する心技体の「心」になるものと,自戒の念を忘れないように日々反省している.救急医療の現場において求められる診断学は,必ずしも仔細な最終診断に至ることではない.この点をはき違え,ただただ最終診断にこだわり,救急現場の限られた医療資源を使い尽くす若手医師がいるが(ベテランでも……),それは救 図1  立体的な臨床推論の必要性(例;腹痛)バイタルサイン幅広い臨床推論:総合的に・緊急度把握異常(緊急)正常腹腔内腹腔外内科系疾患腹痛外科系疾患80第2章 各論

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る