2684ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド 改訂第2版
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118 B児は入学当初,教室に入っても,母親のそばをなかなか離れませんでした.幼稚部の4歳児クラスには,B児のほかに2人の先生と5人の子どもたちと保護者がいます.椅子に座らせようとしても,バタバタ暴れたり大きな声を出したりします.すぐに集団活動に参加することはできませんでしたが,ほかの子どもたちがすることや保育内容はよく見ていました.きっと,場や人に慣れることで,生活の流れや周囲の状況が理解できたら安心して参加するようになると思いました.そこで,B児の実態を,日常の行動観察を記録することで把握し,具体的な支援計画を立てて保護者と一緒に取り組みました. 表1に発達検査の結果を示します.aB児の課題 発達検査の結果(表1)や行動観察(表2)から,B児は運動(2:0)や生活行動,探索・操作(1:6)の発達に比べ,社会性(0:10)や言語・コミュニケーション(理解・言語,0:10)の力が低いことがわかりました.聴覚障害があると,ことばが聞きとりにくいので,どうしても社会性やことばが身につきにくくなりますが,B児は補聴器を常時装用しており,声を出すことを楽しんでいます.認知的にも,指さしや簡単な身振りや手話などの伝達手段を身につける力は十分育っていると考えられました.しかし,理解できる身振りや手話もあるようですが,それらをほとん11 はじめに22 検査結果33 実践内容言語とコミュニケーション支援:幼児期言語とコミュニケーション支援:幼児期②聴覚障害を伴うダウン症児への取り組み②聴覚障害を伴うダウン症児への取り組み11B 実践事例事例2 B児は生後すぐにダウン症と診断され,心疾患と聴覚障害があることがわかりました.聴 B児は生後すぐにダウン症と診断され,心疾患と聴覚障害があることがわかりました.聴力レベルは90 dB以上で重度の聴覚障害(感音性難聴)でした.補聴器を装用しても,こと力レベルは90 dB以上で重度の聴覚障害(感音性難聴)でした.補聴器を装用しても,ことばはよく聞こえず,歪んだ音にしか聞こえません.4歳過ぎには日常の基本的な生活行動がばはよく聞こえず,歪んだ音にしか聞こえません.4歳過ぎには日常の基本的な生活行動が身につき,補聴器の装用にも慣れてよく声を出すようになったのでコミュニケーション手段身につき,補聴器の装用にも慣れてよく声を出すようになったのでコミュニケーション手段を身につけ学習できるようになってほしいと,聴覚特別支援学校幼稚部に入学してきましを身につけ学習できるようになってほしいと,聴覚特別支援学校幼稚部に入学してきました.聴覚障害と知的障害に配慮しながら,身振りや手話を使って,コミュニケーションの力た.聴覚障害と知的障害に配慮しながら,身振りや手話を使って,コミュニケーションの力を促していきました.を促していきました.

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