120B 実践事例ンピョン跳びはねたり手をたたいたりしながら(ミラリング遊び),楽しく遊びました.すると,担当者と一緒にB児の好きな体遊びから少しずつ集団活動にも参加できるようになっていきました.②第2段階:手話を覚える【手話の導入にあたって】 B児は,指導開始後1か月半くらいで,1対1であれば人との関係が取れ,簡単なやりとりができるようになりました.基本的なかかわりは,インリアル・アプローチの言語心理学的技法を使いました.なかでも,動作のミラリングや声のモニタリングはとても喜んでくれました.やりとりするときには,ことばに指さしや身振り,手話,絵カードなどの視覚的な伝達手段を活用しました.指さしを使うことで,何のことについて話しているのか,誰が何をどうするのかを明確になります.また,身振りや手話は音声言語に比べ,意味がイメージしやすいのが特徴です.「いぬ」は「い」と「ぬ」の音を組合せたことばですが,「いぬ」と聞いたとき,その意味をよく知らないと何のことかイメージできません.幼い子どもは「ワンワン」といいますが,これは犬の鳴き声を表したもので,オノマトペといい,「いぬ」よりは犬をイメージしやすいものです.手話は,“意味を動作で表す言語”といわれ,犬が前足をあげて「ワンワン」鳴く様子を動作で表します.対象物の動きや形,生活動作などをもとにしているので,意味をイメージしやすいのです.動詞も名詞を動かすことで伝えられるものが多い(椅子→座る,歌→歌う,食事→食べる,など)のが特徴です.ベビー・サインやマカトン・サインも同じようなサインですが,手話は語彙が豊富で使用人口も多いので,聴覚障害のある子どもだけでなく,発語が苦手な子どもも積極的に使ってほしいと思います.【手話導入時の配慮点】 B児に手話を使用していくときの配慮は,ダウン症児の不器用さや意味理解の弱さ,記憶の弱さなどを考慮して,①簡単な動きの手話で,②日常生活でよく使う手話(高頻度語)を,③一〜二語文の形で教えることにしました.B児のクラスには,B児を含めて6人の聴覚障害児がいます.聴力レベルも言語力もさまざまですが,幼稚部の4歳児学年ともなれば,やりとりや会話の内容は複雑です.たとえば「遠足」の話では,先生はいつ,どこへ行くなどを5W1Hで簡単に伝えます.すると子どもたちは,絵カードを見ながら「行ったことない.初めてだ」「大きなバスに乗っていく.観光バスだよ」「○○ちゃんと一緒に座りたい」「○○ちゃんと,〜したり,……ア〜「○○したい」「ちょうだい」かかわりのモデルを示す図1
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