2684ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド 改訂第2版
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11 図1に一般的な経過を示しますが,場合によっては,福祉や医療から遠ざかる時期が出てきます.眼鏡や靴などの調整も定期的な診察とともに必要ですし,学校でも理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の定期的な診察を受けられる場合もあります.多職種の専門家に相談できるチャンスを家族から求めることが望ましいでしょう. ダウン症児は乳幼児期からさまざまな療育を受けていますが,単に運動発達を促進させるだけではなく,言語コミュニケーションの基礎的な発達がこの時期から始まります.周囲とかかわる力を育て,たとえば,読書,音楽(図2)やダンス(図3),絵画,書道など,その子らしく,その子に合った余暇活動を楽しむようにして,そして環境に適応する力を身につけていくことを目指します. 一般には,心臓疾患がある場合には手術後に,赤ちゃん体操をはじめ,理学療法や摂食指導が始まります.また,作業療法によって手の操作性を高め,言語コミュニケーション指導を行いながら小学校入学に備えます.療育は,姿勢・歩行の安定やコミュニケーション力を高めて社会環境に適応することを目標にしています.進度は個々で違っていますが,基礎を作っているのがこの時期です. 学童期になると,多くの時間を学校で過ごすようになり,身体的な機能訓練を中心とした療育は少なく,学習が主体となります. 名詞に比較して動詞のほうが覚えやすく,状況理解も良好な場合が多いようですが,文章理解,数の概念や理解,短期記憶,ワーキングメモリは弱くて記憶の容量に限界がある点が特徴です.しかし,フォーマットがあると覚えやすく,理屈や手順で理解するより,全体をまるごと11 ダウン症児における療育とは22 乳幼児期33 学童期POINTPOINTダウン症児の療育ダウン症児の療育医療,教育,福祉との連携を深める.余暇活動など,活動の幅を広げる.1244A ダウン症児の特徴と育ちを理解する

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