2684ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド 改訂第2版
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60B 日常生活における学びとコミュニケーションす.見立て遊びができるようになれば,遊びのなかでくまさんごっこ(ハイハイ)やお馬さんごっこ(高這い)をさせ,手を床につくチャンスをつくっていきます.④反張膝 反はん張ちょう膝しつとは,足関節を支える筋肉や靭帯などの緊張の低さから,膝を突っ張って固定し(過伸展),股関節でバランスをとって立っている状態です. 反張膝では膝をロックした状態なので,容易には歩行につながりません.また,歩き始めても膝を伸ばしたまま脚をコンパスのように回した歩き方になり,階段の昇降時,特に降りるときに体重を支持する足の膝を曲げることができません. 対処法は,立位時に介助者が子どもの膝または下腿をもって膝の過伸展を緩め,足首にしわができるように足部を背屈にします(図7).ハイカット靴を履かせ,足関節を固定することも有効です.反張膝が強い子どもには短下肢装具が処方されます.⑤外反扁平足 外がい反はん扁へん平ぺい足そくとは,立位時に体重がかかることで,土踏まずがつぶれ,後ろからみると踵が内側に倒れている状態です. ダウン症児では,脚のアーチを支える筋肉の柔らかさや関節を支える靭帯のゆるみが,アーチ形成の遅れの原因になります.アーチの形成が十分にできないと,歩行時に地面からの反発力を吸収分散できないため,ふくらはぎ,足裏の疼痛,足首,膝,腰の関節痛などの症状が現れます. 外反扁平足を予防し,アーチ形成を促すためには,踵から足の外側,足指の順に体重をかけることが大切です.手をついている形での床座位姿勢がとれるようになれば,積極的に椅子座位をとらせるようにし,床につけた足底,介助者の脚に乗せた臀部,机上に置かれた前腕を支持点とし,踵を引いたかたちで踵から母指へ重心を移動させます(図8).a乳児期の特徴 一般的に乳幼児期は,自分のもつすべての感覚(五感や固有感覚・前庭感覚など)を使って成長していきます.そして赤ちゃんは,養育的なかかわり(おもに母親)を通して,自分や自分をとり33 コミュニケーションを支えるab反張膝とその膝の過伸をゆるめる介助の方法(a)反張膝.(b)膝を持つ方法.(c)下腿を持つ方法.図7c

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