2684ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド 改訂第2版
9/16

612.初期の発達を支える:赤ちゃん体操教室2実践編 療育まく環境をいろいろな感覚で認識し,学んでいきます.これはダウン症児も同様ですが,彼らはこの感覚を取り入れる力が弱く発達もアンバランスなため,保護者のよりよいかかわりが必要となります.保護者がよりよいかかわりをすることは,ダウン症児が人とのかかわりの楽しさを知り,その後のコミュニケーションや言語につながる力を育てることになるのです.b赤ちゃんとのかかわり 赤ちゃん体操教室では,体操指導までの待ち時間などに,STが保護者に対してかかわり方や遊び方を紹介しています.ダウン症児は,反応が弱い赤ちゃんが多いため,保護者が赤ちゃんの反応に気づきにくいことがあります.このような場合は,実際にSTが赤ちゃんとかかわり,「赤ちゃんがおもちゃをじっと見ていますよ」「手を伸ばそうとしていますね」と赤ちゃんの反応を具体的に伝え,保護者に赤ちゃんの反応の見方を教えます. しかし,合併症がある赤ちゃんの場合,楽しくかかわる以前に,保護者が赤ちゃんの体調への不安を強くもっていることがあります.また,保護者がダウン症児であるわが子をまだ十分に受け入れられない場合もあります.このようなときは,保護者の気持ちに寄り添いながら,無理せず子どもとかかわることを勧めます.cかかわり遊びの紹介 赤ちゃん体操の時期には,次のような遊びを紹介しています.①あやして遊ぼう:体操前期 赤ちゃんへの授乳やおむつ交換などの時間は,ふれあいのための大切な時間です.皮膚を通して触れ合うことは,身体の発育だけでなく,赤ちゃんの情緒の発達も促します. 生後6か月くらいまでのダウン症児は反応が弱いのが特徴ですが,このころになると機嫌のよいときはニコニコ笑うようになります.また,泣き声も以前に比べて大きくなってきます.大人が赤ちゃんの視線の中に積極的に入り,赤ちゃんの視線に合わせてゆっくりと「○○ちゃん」と声をかけると,赤ちゃんは大人を見ようとします(図9). ダウン症児は一般的に,物(玩具など)よりも人を見ることが好きです.何度か視線を合わせてゆっくりした声かけを繰り返すと,その人をよく見ようとします.また,赤ちゃんと視線を合わせ,手や足に触れて声をかけるようなかかわり遊びを何度か繰り返すと,赤ちゃんは大人を見続a外反扁平足の予防•改善(a)臀部,足底,机上に置かれた前腕を支持点とし,端座位をとらせる.(b)端座位をとらせ,両足を臀部の方向へ引き込み,前傾姿勢をとらせ,子どもの踵から母指の方向への重心移動を促す.図8b

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る