がん生存率の増加に伴うリハビリ適応の拡大このような,がん罹患者の生存率の向上は,治療後の後遺症・後遺障害に対するリハビリの適応を増加させた.かつて,1952年から1981年にかけて日本人の死因の第1位であった脳卒中は,発症1か月以内の死亡率が40〜50﹪になったことを契機として,リハビリの対象として考えられるようになった,と砂原茂一は指摘している 1).がんのリハビリ適応を考察する4つの領域この脳卒中と同様に考えれば,全癌腫の相対5年生存率が60﹪を越えたことは,リハビリ適応の根拠の一つとなる.しかしながら,がんは幅広く,奥深い面があるので,脳卒中とは単純に比較できない.この際,ステージの進んだ進行がん患者さんに対するリハビリを検討するための基礎知識として,以下の表1に基づく項目が必要となる.表1の縦軸には学問的背景をもった4つの比較の観点が,横軸には分析視座としての4つの次元が示されている.表1に従えば,縦横の表1 がん罹患に伴う心身の困難の局面身体的次元精神・心理的次元社会的次元気分・感情的 次元1.がん自体による障害苦痛,倦怠感,筋力低下,骨転移,低体力抑うつ状態,心因反応休職,退職,休学,退学がんを発病したこと2.がん治療による障害①局所治療後遺症②全身治療後遺症不安・恐怖,抑うつ,否認,譫妄役割喪失(孤独)自分だけががん治療に苦しんでいる3.上記の1,2,ではない,二次的障害身体的廃用症候群心理的廃用症候群社会関係の喪失(孤立)常識の崩壊(動けないことの辛さ)4.がんを担った人に生ずる反応心身症精神症状社会的痛み(見捨てられた思い)心(魂)の痛み20第Ⅰ章 がんリハビリ総論
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