積算合計で16カテゴリーの知識が必要となる.各々のカテゴリーの枠内には,多種多様なものが存在し得るが,理解しやすいように代表的な臨床現象を例示した.1.がん自体による障害1)がんによる体調,体力への影響まず,1. がん自体による障害がある.これは,がんの発生部位に起因する局所の障害と,がん悪液質などにみられる全身の障害に分けて考える.たとえば,肺がんの場合,原発巣に起因する機能障害である呼吸困難や呼吸不全の発生ともに,病勢の進行によって現れる脳・肝臓・骨などへの,がんの転移による症状も勘案する必要がある.がんが原発巣に留まらず,遠隔転移を生じた進行期の固形がんは全身性に問題を拡大するのでやっかいなのである.たとえば骨転移の場合,局所での痛みや痺れ,あるいは,神経障害や運動麻痺,病的骨折の他,高カルシウム血症による全身症状があり得る.病勢の進行を勘案しながら,局所と全身という両面から機能障害対策の検討が必要とされる.2)がん罹患による精神・心理的問題と社会参加を中断する影響また,がんに罹患したことから抑うつ状態や心因反応のような精神・心理的問題を示すこともまれではない.がんという診断は相当な精神的ショックを患者さんに与える.しばしば耳にする言葉に「がんと言われて,頭が真っ白になった」あるいは,「パニックになってしまい,その後のことはハッキリ覚えていない」があげられる.これは,正常な思考が一時的に低下,あるいは,記憶が停止した状態を示している 2).換言すれば,軽度の精神障害であり,その晩は寝つけなくなったり,早々に覚醒してしまって充分に眠れなくなることもあるようだ.多くの精神・心理的問題が睡眠障害から発症することを思えば,がんによる精神・心理的問題が「がんという診断を告げられた時」から始まることを想定してよい.がん患者の自殺率は,そうでない人に比べて高いといわれている 3-6).自殺の危険度も診断直後が一番高率であり,次第に低下することが知られている.がんは精神・心理的問題も引き起こす可能性に留意する必要がある.215 がんリハビリに関わる4つの領域と4つの次元がんリハビリ総論Ⅰ
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