8MSI検査 ●MSI検査は,腫瘍細胞におけるミスマッチ修復機能欠損の有無を判定するための検査法の1つ ●免疫組織化学染色検査や次世代シーケンサーを用いた検査などでも同等の検査結果を得ること ●Lynch症候群の補助診断,免疫チェックポイント阻害薬のコンパニオン診断として用いられる.Check!Key Point!139はじめに DNAミスマッチ修復機能が欠損している(dMMR)腫瘍を検出する目的として,Lynch症候群(Lynch syndrome:LS)の補助診断(絞り込み)と免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果予測の2つがある.LSとは,4つのミスマッチ修復(MMR)遺伝子MLH1,MSH2,MSH6,PMS2のいずれかの遺伝子の片アレルに機能喪失をもたらすバリアントが存在することにより,大腸がんや子宮体がんなどの種々のがんの発症リスクが高くなる常染色体顕性の腫瘍症候群である.LSの個人より発症する腫瘍のほとんどは,腫瘍発生の過程で対側の野生型アレルにも機能喪失型のバリアントが起こり,dMMRとなる. 一方,dMMR腫瘍細胞では,多くの遺伝子の塩基配列に変化が起こり,その結果たくさんのネオアンチゲンを発現していると推測される.そのため,dMMRはICIの効果を予測するMMR遺伝子・MLH1 ・MSH2・MSH6 ・PMS2Lynch症候群MMR遺伝子-/+非Lynch症候群MMR遺伝子+/+正常細胞dMMR-/-IHC検査MMR蛋白の発現消失MSI検査マイクロサテライトに変異-/+前がん細胞ゲノム内に変異が高頻度に蓄積MSI-Highがん細胞・がん遺伝子の活性化・がん抑制遺伝子の 不活化Part 3 婦人科悪性腫瘍とゲノム異常図 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)と高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI—High)である.ができる.
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