◆γ‒GTP は,妊娠中や経口避妊薬服用中の胆汁うっ滞では通常上昇しない.まB 血液検査アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST), アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)● AST ● ALT ● LDH ● ALP ● γ‒GTP ● PT◆ ALT が 30 U/L を超える場合は,肝疾患の可能性を考慮し,精査が必要である.◆ LDH/AST 比は,肝疾患ではおおむね 4 以下である.◆ アルコール関連肝疾患(ALD)では,4 週間の断酒でγ‒GTP 値が約 4 割低下する.◆ ALP は,肝疾患だけでなく,甲状腺機能亢進症など他疾患でも上昇するため,た,分娩直前には約 1/2 に低下する.注意が必要である.Focus PointFocus Word 肝疾患の診断には,血液検査,特に生化学検査が不可欠である.これは,肝臓の合成能,代謝能,分泌能を評価することで,肝細胞障害,胆道系障害,肝線維化,肝予備能などを把握し,肝疾患の診断や病態評価を行うものである. 生化学検査を含む一般肝機能検査の主な検査項目と共用基準範囲を表 1に示し,以下に解説を加える. AST は心筋,肝臓など様々な臓器に含まれ,臓器特異性が低い酵素である.一方,ALT は肝臓に特異性が高く,肝細胞の損傷を反映する酵素である.肝細胞が損傷を受けると,これらの酵素は血液中に漏れ出し,血中濃度が上昇する.肝疾患では,AST 値,ALT 値,AST/ALT 比(AAR)などを参考に,疾患の種類をある程度推測することができる(表 2,表 3). 異常高値を認めた場合,特に AST 高値ではまず肝疾患によるものであるか否かを鑑別する.鑑別には LDH/AST 比が有用である(表 4)(後述).ALT の基準値は,施設や検査法によって異なる場合があるが,岡上らが 30 U/L と報告しており,これを基準値上限とすることが多い.奈良宣言 2023 では,ALT>30 を肝疾患の早期発見・早期治療の目安として,かかりつけ医への受診を推奨している.同宣言は,他疾患でも上昇する AST を考慮せず,ALT のみとしたことに意義がある. 1 AST 値,ALT 値の上昇と想定される疾患(表 2) 500 U/L 超の場合は,急性ウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎(AIH),アルコール82 一般肝機能検査
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