acb 図 1 Caroli 病の造影 CT 3 主な臨床症状と合併症232 本症では,難治性胆管炎と門脈圧亢進症が臨床上の主要な症候である.胆管炎に起因する発熱や腹痛を呈し,重症例では肝膿瘍や敗血症を合併することがある.胆道結石の合併も多く,閉塞性黄疸や急性膵炎の原因となる.慢性的な胆汁うっ滞のため,胆管炎は反復しやすく,肝障害が進行して肝硬変に至る場合がある.非代償性肝硬変に移行すれば,黄疸,腹水,肝性脳症などの肝不全症状が出現する.また,胆道の炎症を繰り返すことで,若年でも胆管がんを発症することがある. CHF を合併する症例では,高度の門脈圧亢進症を契機に発見されることが多い.肝脾腫,Plt 減少,食道静脈瘤,腹水,肝性脳症といった症候を呈するほか,門脈圧亢進に伴う肝肺症候群(HPS)を合併し,酸素飽和度の低下により労作時呼吸困難やばち状指がみられる場合もある. 画像診断では,CT にて肝内胆管の多発・分節状・囊状の拡張を認める.CHF 合併例では,門脈圧亢進による脾腫などの所見も認められる.造影 CT では,拡張胆管内に点状または索状の造影効果を認めることがあり,これは“central dot sign”と呼ばれ,Caroli 病に特徴的な所見とされる(図 1a). MRI では,T2 強調画像にて高信号を示す拡張胆管内に無信号域を点状に認め,“central flow void sign”と称される(図 2a). 確定診断には,囊状拡張部が胆管と交通していることを証明する必要があり,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)などが有用である.ただし,年齢や全身状態によ肝両葉に拡張した肝内胆管を認める(a,b:軸位断,c:冠状断).拡張胆管内部に門脈枝が点状に描出される(矢印,central dot sign).診断
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