第2章2レベル説明はじめに1心不全治療薬は,急性期と慢性期で使用する薬剤が異なるだけでなく,各薬剤のエビデンスレベルも様々です.そのため,心不全治療に用いられる多彩な薬剤を一見しただけでは,どの薬剤がどのような位置づけにあるのか,理解しにくいと感じる方も多いと思います.そこで,本章では,心不全治療薬を5つのレベルに分類(図1)し,それぞれのレベルに属する代表的な薬剤の特徴と使用法を丁寧に解説します.この分類は,薬剤の重要度と使用頻度,エビデンスの確立度を踏まえたもので,臨床現場で実際に心不全治療に携わる医療者の視点に立って設定しました.各レベルの薬剤を理解する上で重要なポイントは以下の通りです.〈レベル1〉絶対に使いこなせるようになりたい急性期の薬剤急性心不全の病態生理,利尿薬の作用機序と適切な使用方法,血管拡張薬の種類と特徴を理解すること.レベル1では,利尿薬や血管拡張薬など,急性心不全の初期治療に不可欠な薬剤を取り上げます.〈レベル2〉エビデンスが確立している,投与必須の慢性期管理の薬剤レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の役割,各薬剤の作用機序と心不全に対する効果,心機能に応じた薬剤選択の重要性を理解すること.レベル2では,β遮断薬やレニン・アンジオテンシン系阻害薬など,慢性心不全の長期管理に欠かせない薬剤を紹介します.〈レベル3〉レベル1〜2に追加して使う薬剤各薬剤の適応と限界,併用療法の意義と注意点を理解すること.レベル3以降では,特殊な病態に用いる薬剤,重症例で用いる注射薬,エビデンスが限定的な新薬などを順に解説します.第2章 心不全治療薬20
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