MRAの適応疾患3うっ血性心不全,腎性浮腫,肝性浮腫,特発性浮腫,悪性腫瘍に伴う浮腫および腹水,栄養失調性浮腫,高血圧症,原発性アルドステロン症.1999年のRALES試験は,LVEF 35%以下かつNYHA心機能分類IIIもしくはIVの重症心不全患者1,663例を対象に,スピロノラクトン群とプラセボ群を比較しました 2).平均観察期間は24か月で,心不全による死亡率は15.5%対22.5%(p<0.001)と,スピロノラクトン群で心不全による死亡率を36%低下しました.また心不全による入院率は26.2%対35.7%(p<0.001)とスピロノラクトン群で心不全による入院率を35%低下しました.2011年に発表されたEMPHASIS-HF試験では,LVEF 35%以下のNYHA心機能分類IIの軽症心不全患者2,737例を対象に,エプレレノン(セララⓇ)群とプラセボ群を比較しました 3).試験開始から21か月時点で有意差が認められたため.試験は早期に終了となりました.心血管死および心不全による入院率は18.3%対25.9%(p<0.001)で,エプレレノン群で心血管死または心不全による入院のリスクを37%低下しました.スピロノラクトンによる恩恵は,血清K値5.5 mEq/Lを超えるまでは維持されるとされており 4),アメリカ心臓病学会(ACC)も血清K値5.5 mEq/Lまでは現行の投与量のMRAおよびACE/ARB/ARNIを継続することを推奨しています 5).以上のように,HFrEFにおいて,軽症例から重症例まで有効性を裏づけるエビデンスが示されてきました.MRAの心不全へのエビデンス第2章 心不全治療薬78
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