1960〜1980年代図2 ODの症状の変遷赤血球数が正常で貧血や怖い病気がないことを説明し,旧診断基準で診断して早寝早起きの生活習慣を指導して,特に薬物を用いなくともよくなるケースがほとんどでした.しかし近年注目されるようになった背景として,ODが不登校に合併し,あるいは原因疾患となり,経過が長引くようになったことがあります.不登校の子どものなかには,朝起きられない,午前中の頭痛や倦怠感といったOD症状を呈する子どもが多いことは,従来からいわれていました.そして最近になり,日本小児心身医学会の「起立性調節障害診断・治療ガイドライン」では,ODの約半数に不登校が併存し,また不登校の3~4割にODを伴う1)と述べています.また,いったんOD症状を伴って不登校になり昼夜が逆転すると,1シーズンでは改善せず,年余にわたり長期化することも少なくありません.同ガイドラインでは,日常生活に支障のある中等症では1年後の回復率は50%,2~3年後は70~80%,不登校を伴う重症例では,1年後の復学率は30%,社会復帰に少なくとも2~3年かかると述べています1).では,なぜこのような症状や経過の違いが起こったのでしょうか.あるいは日本でODの概念が報告された頃のODと今のODは同じなのでしょうか.本書では,こういった疑問にも答えながらOD児への寄り添い方を考えてみたいと思います.14歳,中学校2年生女子のかえでさん(仮名).3月頃から,朝,目が覚めてベッドから立ち上がると立ちくらみがして,一瞬目の前が真っ白になることがありました.中学校2年生になり,バレー部のエースに抜擢されました.5月の中旬から,毎日立ちくらみがするようになり,朝起きづらく遅刻ギリギリであったり,遅刻しながら登校していました.ある朝,朝礼の最中に気分不良で保健室に運ばれ,学校から家庭に医療機関への受診をすすめられました.小児科を受診し,一般的な検査では異常はなく,起立試験で起立後5分くらいから血圧が低下し,8分を過ぎたところでしゃがみこんで中止となりました.起現在わたしの出会った事例研修医の頃によく出会ったケースChapter 1▲起立性調節障害はどんな病気?4
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