2696褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2025
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頸静脈孔 PGL外耳道頸静脈球頸静脈孔迷走神経 PGL副神経 Ⅺ迷走神経 Ⅹ鼓膜中耳鼓室 PGL内頸動脈内頸静脈外頸動脈舌咽神経 Ⅸ頸動脈小体 PGL舌下神経 Ⅻ頸動脈小体総頸動脈図 1 HNPGL 発症部位とんどが基準値上限の 5 倍以下であったと報告されている107).しかしながら周術期管理の面から,カテコールアミン過剰産生を評価することはα遮断薬投与の必要性の判断に重要であり,血漿遊離メタネフリン分画または 24 時間尿中メタネフリン分画測定は必須である.一方,HNPGLでは孤発例,遺伝性を問わず約 1/3 の症例がドパミン過剰産生を示し,ドパミン代謝産物である3—メトキシチラミン(3—メトキシチラミン;3—MT)の測定が推奨される108)が,わが国では保険適応外である. C 遺伝学的背景 遺伝性の HNPGL は SDHD 遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントを示すことが多く,Baysal らの後方視的研究では,SDHD 遺伝子病的バリアントは 50%に認められ,SDHB 遺伝子病的バリアントを合わせるとその確率は 70%に上る.SDHD 遺伝子病的バリアント陽性例においては家族内発生の生涯リスクは 75%と報告されている109).さらに,SDHD 遺伝性病的バリアント陽性例では多発性を示すことが多い. わが国における 370 人の PPGL におけるコホート研究で,77 人の HNPGL における PPGL 関連遺伝子病的バリアントの保有率は 51.9%と高く,SDHD 28.6%,SDHB 22.1%,SDHC 1.3%であった.病的バリアント陽性例のうち家族歴が認められたのは 27.5%のみであったと報告されている110).過半数の HNPGL において病的バリアントが認められることから,適切な遺伝カウンセリングとインフォームド・コンセントの後に,家族歴がなくても全例に遺伝学的検査が推奨される.32第Ⅰ章 褐色細胞腫・パラガングリオーマ

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