2697医療的ケア児の栄養療法サポートブック
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F害障的知医療的ケア医療的ケア児の生活を支援するために6医療的ケア児を支える視点 そうことが一般的に行われている.ところがその結果,るい痩養育者と当事者の視点単語がないPoint 「医療的ケア児」ということばは,これまでの「重症心身障害児」ということばとは,明確に異なるディメンションを導入している(図1).重症心身障害児では,運動機能の障害と知的障害の両者があることを示しているが,これらはどちらも当人の障害を示している.医療的ケア児では,養育者による医療的ケアを必要とすることに言及している.当人の障害にではなく,養育者の行為(負担)に焦点を当てたことにより,主語が当人から養育者に変化するのである.栄養摂取のための行為である,食べる(eat)についても〔飲む(drink)もここに含むとして〕,食べさせる(feed)という存在があることを示している.幼少期には誰でも食べさせる存在が必要なのであるからケアを必要としているのであるが,医療的ケアは,そのケアが通常は医療現場でのみ行われている医療行為に相当するものであるということが異なっているだけである. 養育者の視点で考えることは,これまでも医療現場でみられている.たとえば栄養量の設定において,介護のしやすさ(養育者の腰の負担)を考えて,体重を増やさないような設定にするが増していることがよくある.われわれは,上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)が7 mm未満だと体調不良の頻度が増すことから,TSFを7 mm以上に維持することを心がけている.体重が少し増加するだけで,体調不良の頻度が減り,救急受診や入院の頻度が減ることで,介護の負担が減が著明となり,体調不良になる頻度重症心身障害座位ねたきり運動機能障害139 図1  重症心身障害と医療的ケアF 医療的ケア児の生活を支援するために ▶医療的ケア児ということばにより,当事者だけでなく養育者の視点が入る. ▶医療的ケア児の栄養は多職種の連携が有効である. ▶オープンダイアローグ,ユニバーサルデザインなどの視点をとり入れたい.―多職種連携

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