Q0190はじめにChapter 44Chapter ADHDの薬物療法・心理社会的療法では改善が認められないときには薬物療法を検討する.・具体的には,小学校低学年では「トラブルが絶えないとき」,小学校高学年では「本来は力があるのに,ADHD症状によって十分な力を発揮できていないとき」が薬物療法を検討する目安となる.・最終的には「本人にメリットがあるかどうか」という視点が重要である.・薬物療法を行ってよい状態か,身体的な検査は必須である. 薬物療法は,心理社会的療法では改善が認められないときの次のステップですが,小学校低学年では「トラブルが絶えないとき」,小学校高学年では「本来は力があるのに,ADHD症状によって十分な力を発揮できていないとき」は積極的に薬物療法を検討するべきです.この際には,周囲から十分な情報を集めることが重要であり,そこまでトラブルが顕著でなくても「服薬をしていた方が本人にメリットがありそうだ」と思えるときには,薬物療法について検討を行うとよいかと思います. これまで述べられてきたように,ADHDは,子どもの発達において比較的高い頻度でみられる疾患であり,社会的・学業的な機能に多大な影響を及ぼす.ADHDの治療には,環境調整,心理社会的療法,薬物療法が含まれるが,そのなかでも薬物療法の適応を判断することは,治療の成功において重要なポイントであると考えられる.本項では,どのような場合に薬物療法を検討すべきか,その指標について詳細に論じる.POINTAどんなときに薬物療法を検討すればよいでしょうか?
元のページ ../index.html#4