2700明日からできる!子どものADHD診療
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Chapter Chapter 2で詳細に記載されているが,その診断フローに従ってADHDの診断が確定した場合には,以下のような点を考慮して,薬物療法の開始を検討する.ADHD特性は連続的なものであり,明確な線引きができないのが現状であるが,「診断的治療」と称してADHD治療薬を投与することは,治療者にとっては効果の判定が困難であり,本人・養育者にとっても低アドヒアランスの問題が生じ,メリットは少なく控えるべきであると考える. ADHDの症状が,学業や日常生活において重大な支障をきたしている場合は,薬物療法を考慮すべきである.たとえば,表1のような状況があげられる. 表1のように,ADHDに由来すると考えられる行動が子ども自身の学習や生活を妨害しており,その結果「本人の自己評価が下がってしまっている状態」91薬物療法を検討すべき基本的な状況 1 症状の重症度が高い場合44ADHDの薬物療法表1 薬物療法を考慮すべき状況授業に集中できず,上の空で大事な部分を聞き逃してしまうテストでケアレスミスが目立つ思い通りにならないと,カッとして暴言を吐いてしまう朝起きることができない宿題を終わらせることができない宿題をやっても提出できない喋り続けて夕食にかかる時間が長い寝る前の準備がスムーズにできない寝たいけれどなかなか寝つくことができないきょうだいに対する暴言がひどい小学校高学年場面小学校低学年学校授業中に頻繁に立ち歩く,物を投げる,不規則な発言をするなどでクラス全体の学習に影響を与えている遊びのルールが守れず,割り込みをしたり,順番を守ったりできずに,友人と仲よく遊ぶことができない思い通りにならないと,カッとして手が出てしまう家庭宿題に取りかかれない,終わらせることができない落ち着いて夕食を取ることができないなかなか寝ようとしないきょうだいと仲よく遊べずにすぐに手が出てしまう

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