2700明日からできる!子どものADHD診療
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ChapterADHD児は少なくない.ADHDにはしばしば自閉スペクトラム症(ASD)を併存するが,最近のスウェーデンの疫学調査でもADHDの23.9%にASDの併存がみられた2).ASDの特性の1つである,限定された興味のあることへの没頭もあいまって,趣味や,習得した知識の話などをしだすととまらないADHD児もよくいる. 養育者もADHDであったり,ADHDの特性をもち話好きな性格であったりして,話が長くなりがちなことがある.ASDの特性をもつ養育者では,一般的な工夫や,他の場面でうまくいった工夫を場面に応じて用いることが苦手で,困った場面での具体的な対応について一つひとつ確認をしないと気が済まず,話が長くなることがある. 話がとまらないとき,背景に怒りや不安がみられることがある.話をしているうちに,養育者が感情的になったり,ADHD児と養育者との間で言い合いがはじまり両者が感情的になったりすることがある.ADHD児の話がいつもより長いとき,その背景には本当に相談したい不安なことがあったり,話の長い養育者の背景に将来への不安があったりする. a 怒り 診察場面では,ADHD児よりも養育者の怒りを感じることが多い.前回診察147 2 感情的な背景55診察室での困りごと図1 話がとまらない背景

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