53原因・病態FMFの詳細な病態には依然不明な点が多いが,ここ数年でMEFV遺伝子変異が炎症を引き起こす機構に関して有力な報告がなされている(図1).pyrinはASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a caspase recruitment domain)やcaspase-1と会合してインフラマソームを形成するが,その形成は細菌毒素によるRho GTPaseの不活化により誘導され,IL-1βやIL-18の産生に至ることが知られていた 11).最近Rho GTPaseの下流に存在するPKN(protein kinase N)がpyrinをリン酸化し,抑制分子である14-3-3蛋白の結合を促進していることが報告されている.FMF典型例に認められる変異を有するpyrinに対してはPKNによるリン酸化が阻害され,抑制分子14-3-3蛋白の結合が低下してpyrinインフラマソームの活性化が亢進すると考えられている 12).pyrinは好中球や単球,樹状細胞,線維芽細胞などに発現しているが,全長蛋白は主として細胞質内に微小管と関連して局在しており,このことがFMFに対するコルヒチンの有効性と関連していると思われる.臨床像(1)症状①発症時期FMFの発症時期に性差はなく,80%が20歳以下で発症する 13).わが国では5歳以下の発症例が少なく成人発症例が比較的多い傾向がある 14).②発熱発熱はほぼ必発の症状であり,突然高熱を認めて半日から3日間持続し,特に投薬しなくとも自然に解熱する.間欠期は無症状であり,発作間隔は通常2〜6週間で4週間ごとが典型的である.感染や外傷,ストレスなどが発作の引き金になることもあり,女性患者では約半数が生理周期に一致する 15, 16).家族性地中海熱(FMF)Dpyrinインフラマソームの活性化機構図1TcdAPKNASCpro-caspase-1caspase-1(active form)pyrin(active form)pyroptosisgasdermin Dpro IL-1β/18P-pyrin(inactive form)14-3-3pyrin inflammasomePPPPRhoAGTPRhoAGDPPKNRhoAGTPPP
元のページ ../index.html#5