5歳児ってどんな子?5歳児健診の目的って?13言語発達 認知発達 社会性の発達 「夕焼けがきれいだね.明日は晴れだね.遠足に行けるね」など,通常の日常会話ができるようになります.自分の保育所や幼稚園の名称,クラスの名前,場所などのオリエンテーションに関することを言葉にできるようになります.時間軸に関する言語表現を獲得するのも5歳児の特徴です.過去のことを思い出して話し,そのおおよその時系列に誤りがなく,また,先の予測について言及するようになります.じゃんけんの勝ち負けがわかるようになります.大小,長短,多少のような対比的な世界観から抜け出して,複雑な関係を理解するようになります.その第一歩がじゃんけんの勝ち負けの理解です.語音の音韻処理能力も向上し,短い単語の音節(1文字の音)を把握することができるようになります.その結果,しりとり遊びができるようになり,それはひらがな文字を習得する基礎となっています(p.33,35参照).数は5まで数えられるようになり,指を折りながらでも5以上の数を理解しようとします.情緒として大人と同じ種類の感情(喜怒哀楽以外にも親しみ,妬み,恥ずかしいなど)を示すようになります.社会性の発達としては自己表現と自己抑制が重要です.図は,3歳から7歳までの幼児約700名の行動を,自己抑制と自己主張・実現の具体的行動項目71について観察評価し,月齢別に出現頻度を示したものです.5歳は,男女ともに自己主張・実現は強いが自己抑制が未熟な時期といえるでしょう2).また,布置の力が身につく時期でもあります.時間的な見通し,すなわち過去と今,今と未来の関係性に気づくようになります3).すると,今はできなくても,頑張って続けているとできるようになって,喜んでいる自分のイメージがもてるようになり,かんしゃくを起こすことが減ってきます.そのためには,周囲の大人が誘って「振り返り」をすること,大人が「振り返りの結果を評価」してあげること,そして成功した場合には「次もできるといいね」と期待を伝えること,成功しなかった時には「次はきっとできるよ」と励ますことが肝要です.
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