2705これからの5歳児健診
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*5歳児健康診査問診票(図2)では「生活習慣」に関する設問となっています.36動がとれるようになります.同時に,時間軸の感覚が備わってくることで見通しが立てられるようになり,欲求を抑えて待つことができるようになります.これらの質問項目には,言語・知的能力,情緒・行動の発達が関係してきます.日常生活に支障がある状態や保育場面での逸脱行動がみられる場合には,問診時や待合での様子もふまえて診察や専門相談につなげます.時に,保護者の養育態度が影響していたり,生活リズムが乱れて睡眠不足があるなど生活習慣に課題があったりする場合があるので,生活習慣や子育ての状況に関する問診項目は留意して聴きとりましょう.17.ルールに従って遊ぶことが苦手ですか.18.生活や遊びの中で特定の物や動作にこだわりが強いと感じますか.19.集団生活では,友達と一緒に遊んだり,行動することができますか.23.友達と協力しあう遊びができますか.(砂で一つの山を作るなど)*これらの項目は,集団活動への適応や困難さについて尋ねています.集団性の認識は保育所などにおいて集団で生活する経験を重ねていくなかで発達します.集団生活を通じて,集団を構成する一員としての自己の意識が発達し,自分が属する集団に対する信頼感や連帯感が芽生え,集団のなかで行動を適応させることを学びます.社会化し,仲間関係を意識した自己調整ができるようになります.問診を通じて,仲間関係の維持に課題が生じていないかどうか確認しましょう.困難さがある場合,その背景として,不注意や衝動性の高さ,興味の偏りやこだわりの強さ,他者への関心や共感力の乏しさ,言語能力や知的能力の発達の遅れなど複数の要因が考えられます.こども自身がどのような場面や状況に困難を感じているかについて注意して聴きとり,診察や専門相談につなげます.20.自分からすすんでよく他人を手伝いますか.(親・先生・こどもたちなど)21.頭がいたい,お腹がいたい,気持ちが悪いなどと,よく訴えますか.22.一人でいるのが好きで,一人で遊ぶことが多いですか.5歳頃には,こどもにとっての「社会」である身近な生活の場のなかで自分の役割を認識し,日常生活習慣の自律性が育ってきます.好奇心旺盛でなんでも1人でやりたがる自我の発達時期を経て,自発性とともに協調性も高まり,他者の役に立ちたいという気持ちが強まります.項目番号20は他者への思いやり,正義感,自制心など向社会的行動の発達状況を尋ねており,あてはまる場合はこどもの強みになります.しかし,項

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