精子の構成要素精子は,成熟に伴い細胞質の大部分を失い,頭部の精子クロマチンの凝縮が進み,繰り返し酸化反応が発生する.この過程では繰り返し酸化反応が発生する.この過程で精子は細胞内防御機構をもたないため,精漿に含まれる抗酸化物質だけが細胞を保護する役割を果たす 3).また精子の細胞膜の脂肪酸組成が変化し,多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)が蓄積しやすくなる.この過程で細胞膜に酸化されやすいPUFAが組み込まれることで酸化ストレスに脆弱になる.食事の影響食事性脂肪精子の成熟とともに細胞膜中のPUFA,特にDHAの割合が増加する.ヒトはPUFAを合成できないため,リノール酸やα-リノレン酸はナッツ,植物油から摂取し,EPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸は魚介類から摂取する必要がある.一方でトランス脂肪酸や飽和脂肪酸は,PUFAとは逆の作用になり精液の質の低下,精子数の減少と関連している 4).精子を防御するための抗酸化物質精子は細胞質を失うことで防御機構を欠如し,活性酸素にさらされやすい.12患者さんにはこう伝える!精液所見の改善は,解説で述べたような栄養,食事で改善できる可能性あるものの,実際の妊娠率向上につながるかどうかははっきりしないこともあります.男性不妊の場合,自分で生活スタイルを責め,相手の女性からもプレッシャーを感じることが多いものです.改善できることで健康寿命も長くなると思われますが,自分自身で追い詰めないよう,できることからやってみてください.Part2プレコンセプションケアを実践する037Part2 プレコンセプションケアを実践する食事A
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