病でインスリン欠乏により組織におけるグルコース利用が低下した場合に,血中ケトン体が過剰となって尿中に排泄される4).尿糖(1+)以上かつ尿ケトン体 (1+)以上の場合は糖尿病性ケトアシドーシスが疑われるため,血液ガスを確認する.5)尿ビリルビン,ウロビリノーゲン黄疸に伴い水溶性である直接型ビリルビンの血清濃度が上昇すると,尿ビリルビンが陽性となる.また胆汁として腸内に排出されたビリルビンの一部は還元されてウロビリノーゲンとなり,体循環に入って尿へ排泄される.したがって尿ウロビリノーゲンは健常でも少量排泄されるが,溶血や肝機能障害,腸閉塞などで増加する4).6)白血球反応,亜硝酸塩膿尿の判断に用いる白血球エステラーゼ反応は,白血球のなかでも顆粒球にのみ反応する.細菌尿の判断に用いる亜硝酸塩は,細菌が硝酸塩を還元し亜硝酸塩とすることを利用している.食品から摂取した硝酸塩が尿中に存在すること,硝酸塩を還元する菌種(連鎖球菌や腸球菌は還元できない)が膀胱内に存在すること,尿貯留が4時間以上であることが,亜硝酸塩の検出には必要である5).感度は低いが,陽性であればUTIを強く疑う根拠となる.遠心尿を400倍の強拡大で鏡検する方法や,自動分析装置を用いて無遠心尿の成分を定量的に測定するフローサイトメトリー法がある6).沈渣の種類と量を知ることは,腎尿路疾患の鑑別とその程度を評価するうえで重要である.以下におもな尿中有形成分を示す.1)赤血球5個以上/HPFあるいは20個以上/μLを認める場合に血尿と診断する.糸球体性血尿では,赤血球が糸球体基底膜や尿細管を通過する際に損傷や浸透圧の影響により変形をきたし(dysmorphic),蛋白尿や赤血球円柱などを伴うことが多い.一方,非糸球体性血尿は尿路からの出血であり,円盤状,球状などほぼ均一な形態(isomorphic)をとる6).非糸球体性血尿の詳細については本章の「泌尿器科的血尿」を参照されたい.2)白血球5個以上/HPFで陽性とみなす.UTIや腎炎,川崎病などで出現する.尿沈渣471第3章 尿の異常でみつかる疾患
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