2709小児泌尿器疾患マニュアル
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などの症状の訴えは,約3%と少ない.1)診断精索静脈瘤の診断は,立位の状態で陰部の視診および触診によって行う.3つのgradeに分類される(grade 1:腹圧負荷にて触診で診断できる,grade 2:腹圧負荷なしに触診で診断できる,grade 3:腹圧負荷なしに視診で診断できる)(図2).2)検査a. 超音波検査補助的診断として陰囊超音波検査を施行し,静脈の拡張度や,カラードプラ超音波検査によって腹圧負荷での逆流の有無を観察する(図3).精索静脈瘤を触知できないが,超音波検査で静脈の拡張を認めるものはsubclinical varicocele と定義される.思春期前や右側精索静脈瘤では,後腹膜腫瘍が下大静脈や腎静脈を圧図1 精巣からの静脈還流精巣からの静脈は,下大静脈あるいは左腎静脈に還流する内精静脈,内腸骨静脈に還流する精管静脈,外腸骨静脈に還流する精巣挙筋静脈,大伏在静脈に還流する外陰部静脈がある.これらの静脈系は,互いに交通している.精索内の蔓状静脈叢(pampiniform plexus)は,内精静脈に還流する.下大静脈内精静脈精巣導体静脈内腸骨静脈外腸骨静脈外陰部静脈大伏在静脈精巣蔓状静脈叢精巣挙筋静脈精管静脈内精静脈尿管腎静脈腎臓121第5章 思春期に多い疾患

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