2711向精神薬を紐解く
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Introduction*医療大麻については,第 6 章「抗発作薬(抗てんかん薬)」のコラム㊴を参照のこと薬物四法とは?指定薬物(危険ドラッグ)とは?する 日本では薬物乱用の法規制として,「麻薬及び向精神薬取締法」,「覚せい剤取締法」,「大麻取締法」,「あへん法」があり,まとめて「薬物四法」とよばれている(表 3).「麻薬及び向精神薬取締法」は,1990 年の麻薬取締法の改正で「麻向法」と略称される現在の名称になった.向精神薬は乱用の危険度と医療上の有用性の程度により,第 1 種,第 2 種,第 3 種に分けられ,それぞれに取り扱いが規制されている.れのあるもの 薬物四法の規制対象となる薬物はその化学構造で厳密に規定されている.化学構造がわずかに異なる化学物質は別の薬物として認識されるため,法規制の網の目をすり抜けて規制を受けない危険ドラッグとして,製造販売されることがあった.日本では 1996 年から登場し,ハーブ,芳香剤,お香,研究用試薬などと偽装しているため,医薬品として認識することが難しい.脱法ハーブともよばれたが,現在は危険ドラックという名称に統一されている.国際機関では新規向精神物質(new psychoactive substances:NPS)とよばれている. 2006 年に医薬品医療機器等法(旧薬事法)が改訂され,実効性を伴う薬物乱用対策として「指定薬物」制度が導入された.指定薬物とは,厚生労働大臣が指定する「中枢神経系の興奮もしくは抑制または幻覚の作用を有する蓋然性が高く,かつ,ヒトの体に使用された場合に保健衛生上の危害が● A.「麻薬及び向精神薬取締法」,「覚せい剤取締法」,「大麻取締法」,「あへん法」をまとめて総称表 3 薬物四法● A.医薬品医療機器等法(薬機法)によって規定される薬物で,ヒトの身体に危害が発生するおそ3Q2Q3対象薬物の例違反輸入・輸出・製造・栽培・小分け・譲り渡し・所持等輸入・輸出・製造・製剤・小分け・譲り渡し等輸入・輸出・製造・譲り渡し・譲り受け・所持・使用栽培・輸入・輸出・譲り渡し・譲り受け・所持栽培・採取・輸入・輸出・譲り渡し・譲り受け・所持・吸食向精神薬早わかり Q & A 1 to 22罰則1~10 年の懲役3~5 年以下の懲役1~10 年の懲役5~7 年以下の懲役1~7 年の懲役00コカイン,MDMA,OH—MDMA,MDPV,α—PVP,5—MeO—DIPT,オピオイド系(ヘロイン,モルヒネ,コデインなど)合 成 カ ン ナ ビ ノ イ ド(JWH—018,AM—2201 など)麻薬及び向精神薬取締法第 1 種向精神薬,第 2 種向精神薬,第 3 種向精神薬アンフェタミン,メタンフェタミン覚せい剤取締法大麻取締法大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品*あへん法あへん,けし,けしがら

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