入院Ⅴ合併症・Ⅴトラブル対応159自宅発熱腹膜炎を疑う症状とくに排液混濁,腹痛があれば病院へ連絡し来院悪心・嘔吐腹痛下痢混濁した PD 排液バッグの持参排液混濁図 1 腹膜炎の発症→診断→治療→退院までの流れ表 1 腹膜透析(PD)腹膜炎の原因外因性経カテーテル感染菌が接触汚染(タッチコンタミネーション)などにより,カテーテルの中を通り直接腹腔内に侵入する 例:手洗い・マスクの省略の上での操作ミス 接続部のはずれ,カテーテルやチューブの亀裂からの細菌侵入傍カテーテル感染菌がカテーテルと皮下組織などの間を経て腹腔内に侵入する 例:出口部感染→皮下トンネル感染→腹腔内に細菌混入内因性(二次性)経腸管感染 虫垂炎,憩室炎,腸管壁の穿孔などから感染が波及経腟感染女性で腟内に感染がある場合,腹腔に開いている卵管采から波及血行性感染 結核や歯科疾患などによって血行性に菌が波及病院混濁バッグから検体採取し,PD 排液の沈渣提出有意な所見であれば,続いて PD 排液の培養採取来院バッグの持参がなければ 1L液を2 時間貯留,排液して検体採取腹膜炎の原因が患者さんの操作ミスなら再指導PD 腹膜炎の診断がつけば原則入院で抗菌薬による腹膜炎治療退院腹膜炎を起こした原因を検索( 表1 )外因性:バッグ交換時の不潔操作の有無 :出口部感染の有無内因性:他からの病原菌の波及の有無a.起因菌ⅠⅡⅢⅣⅥ123◆PDOPPS(Peritoneal Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)の日本の報告では,Gram 陽性菌が 39%,Gram 陰性菌が 14%,複数菌検出が 5%,菌未検出が20%,その他が 22%と報告されています2)( 図 3 ).ISPD ガイドラインでは,培養陰性腹膜炎の比率は,全腹膜炎発症回数の 15%未満とすることを推奨しています.
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