2722内分泌外科手術のキホン
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).2▲)で述べたように,副腎背側を剝離していく際は,手術の勘ドコロab4「D副腎 経腹膜前方アプローチ271p.269図 7 左副腎中心静脈場合は減点なし」と記載されている2)腹腔鏡下左副腎摘出術副腎中心静脈処理後,右側同様,副腎背側の腸腰筋をみるため背側に組織を剝離する.この際,右側と異なり,左副腎内側背側には神経節が存在しており,腸腰筋がすぐに見えないことがある.このような場合は少し外側,あるいは頭側で腸腰筋同定を試みるのがよいだろう.3.副腎中心静脈同定,処理」の項(腎動脈を損傷しないように,事前に腎動脈の走行を確認しておく.腸腰筋が同定できれば,右側同様,背側に鉗子を差し入れ,背側,内側,外側,頭側,最後に頭外側へと剝離を進める.途中で腎臓・副腎の間の腹膜に切開をいれておくほうが,副腎が挙上されやすい. 5. 腫瘍収納,閉創腹腔内に腹腔鏡用標本収納バッグを入れ,鉗子で直接副腎腫瘍を把持せず,周囲脂肪組織などを把持し,バッグに収納する.右側では左側臥位,左側では右側臥位となっており,重力は患側から対側へとかかっている.それぞれ腫瘍は患側外側に持ち上げ,その内側にバッグを用意しておくとスムーズに入れやすい.カメラポートから腫瘍を体外に摘出する.ドレーンは術中所見により出血がほとんどなければ留置していない.腹膜,筋膜,皮下,皮膚を閉創し手術終了とする.Column腹腔鏡下左副腎摘出術の手術動画( 動画 37).腸管・脾臓・膵臓脱転操作から左副腎中心静脈処理までの様子.ポイントは助手が支えなくても術野が保たれるように十分腸管・脾臓・膵臓を脱転することである.ここで十分脱転しておけば,血管処理後の副腎内側の処理も容易になる.左副腎中心静脈左腎静脈a: 左腎静脈,副腎中心静脈が剝離された状態.左副腎中心静脈の背側まで副腎が存在していることがわかる.b: 左副腎中心静脈に血管クリップを 3 本かけている様子.右と違い,左副腎中心静脈は長いため,血管クリップでの処理が可能である.左腎臓

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