2726はじめて学ぶ小児血液・腫瘍疾患 改訂第2版
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Ⅰ3小児血液・腫瘍疾患の「急ぐとき」と「急がなくてよいとき」兵庫県立こども病院広島大学病院九州大学病院*新患数20症例以上で類型1-Aと1-Bを分けている京都大学医学部附属病院京都府立医科大学附属病院大阪市立総合医療センター名古屋大学医学部附属病院三重大学医学部附属病院静岡県立こども病院北海道大学病院東北大学病院埼玉県立小児医療センター国立成育医療研究センター東京都立小児総合医療センター神奈川県立こども医療センター 小児血液・腫瘍疾患の「急ぐとき」と「急がなくてよいとき」類型1-A n=53類型1-B n=48・国立成育医療研究センター(NCCHD)・国立がん研究センター(NCC)類型2類型3長期フォローアップを行う連携病院n=28小児がん中央機関(n=2)小児がん拠点病院(n=15)7ブロック小児がん連携病院(n=143)類型1地域の小児がん診療を行う連携病院特定のがん種,放射線治療を行う連携病院n=101n=14が多いことを表しています.成人では肺がんや胃がん,大腸がんなどの「癌腫」がほとんどですが,これらは小児ではまれです. 小児がんは,2012 年に定められた第 2 期のがん対策推進基本計画において,重点的に取り組むべき課題の 1 つとして初めて取り上げられました.その計画によって,小児がん拠点病院が指定されることになったのです.さらに,2016 年 12 月にがん対策基本法の改正があり,初めて法律に「小児がん」という言葉が記載されました.第 21 条に「がん患者における学習と治療との両立」として,「国及び地方公共団体は,小児がんの患者その他のがん患者が必要な教育と適切な治療とのいずれをも継続的かつ円滑に受けることができるよう,必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする」とあります.2023 年からの第 4 期がん対策推進基本計画では,「誰一人取り残さないがん対策を推進し,全ての国民とがんの克服を目指す」ことが全体目標として掲げられています. 小児がん拠点病院は 2013 年 2 月に全国を 7 つのブロックにわけ,15 拠点病院が指定されました(図 2).成人の場合は,2025 年時点で 511 のがん診療連携拠点病院等がありますから,15 という数はとても少ないものですが,年間 100 万人発症する成人がんの頻度からしたら妥当な数なのかもしれません.小児がん拠点病院制度のキーワードは,小児がん診療の集約化と均てん化にあります.高度な小児がん診療ができる病院への難治例紹介率を高め,専門性を高めること(集約化)と,どこの病院に行っても適切な医療が受けられること(均てん化),この 2 つのバランスを取ることが,小児がん拠点病院の目的です.小児がん拠点病院は,地域ブロック協議会を通して,地域の小児がん医療提供体制を整備する役割があります.2019 年には小児がん連携病院を小児がん拠点病院が指定することになり,ネットワーク化がすすめられています.地域の小児がん連携病院をまとめ,各病院の医師,看護師,相談員など小児がん医療に携わるさまざまな職種の方々の人材育成も小児がん拠点病院の責務となっています.図 2小児がん拠点病院と連携病院(2025 年 6 月現在)2.日本における小児がん対策

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