2727はじめよう骨粗鬆症治療薬 選び方と使い方
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A2  骨粗鬆症とは 骨粗鬆症の診断基準Part 1骨粗鬆症のキホン!国民の 8 人に 1 人,約 1,600 万人は骨粗鬆症患者である.『骨密度低下=骨粗鬆症』ではなく,『骨折をしやすくなる病態』が骨粗鬆症である. 骨折の既往は骨密度低下を凌駕する骨折の危険因子であり,治療対象として最も考慮すべき因子と思われる.1)骨粗鬆症の定義『骨粗鬆症』というと「骨密度の低下」を想起する方も少なくないと思われるが,骨粗鬆症は『低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患である』と世界保健機関(WHO)で定義されている1).つまり,「骨粗鬆症=骨密度低下」ではなく『骨粗鬆症=骨強度の低下に伴った易骨折性』という概念が必要である.骨強度低下の主要因が「骨密度低下」ではあるが,骨密度のみで骨折リスクを説明できないことに留意する必要がある.2)骨強度と骨密度骨強度に影響する因子として「骨密度」と「骨密度以外の多様な因子」がある.「骨密度以外の多様な因子」には,骨微細構造,骨代謝回転,微小骨折(micro crack),骨組織の石灰化度などがあげられ,これらは『骨質』と定義された.現在「骨密度」が骨強度の約70%を占めると考えられており,また,「骨質」の正確な定量評価ができないことから多くの場合「骨密度」から「骨強度」を推定し,診断や治療を行っている(図 1).1)原発性骨粗鬆症の診断基準海外では 1991 年に骨粗鬆症の定義が提案され,1994 年以降は一般人口における骨密度と骨折発生率との関連に基づいた骨粗鬆症の診断基準として「正常」,「低骨量状態(骨減骨粗鬆症ってどんな病気? 1 2

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