2727はじめよう骨粗鬆症治療薬 選び方と使い方
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F  基本的な考え方202Part 6こんなときどうする? ―基礎疾患がある場合ホルモン療法における副作用としての骨粗鬆症を考慮する. 特に閉経後乳がん術後に使用するアロマターゼ阻害薬は極めて強い骨吸収作用を有することに留意する.骨密度低下を予防し,骨折リスクを低下させることが重要である.1)はじめにホルモン療法による骨粗鬆症は,続発性骨粗鬆症に分類される.関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)や全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)を代表とする自己免疫疾患に対するステロイド療法,早期乳がん術後アロマターゼ阻害薬(aromatase inhibitor:AI)による抗エストロゲン療法,前立腺がんに対する LH-RH アゴニスト治療またはアンドロゲン除去療法(androgen deprivation therapy:ADT)は,代表的なホルモン療法である.ステロイド療法に対しては,日本骨代謝学会の『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン 2023』に沿って治療を行う.個々の症例の骨折危険因子をスコア法で評価し,スコア 3 以上で薬物治療を考慮する.第一選択薬としては,ビスホスホネート薬(bisphosphonate:BP)であるアレンドロネート(alendronate:ALD)とリセドロネート(risedronate:RIS)が奨励されている.2)がんに対するホルモン療法近年,日本人の癌罹患率において,女性は乳がん,男性では前立腺がんが増加している.乳がんや前立腺がんの治療法として施行されるホルモン療法は,骨密度を低下させ骨折リスクを増大させることが問題となっている1)2).ここでは主にがんに対するホルモン療法を中心に解説する.特に日本人女性の悪性腫瘍の中で,乳がんは最も罹患率が高く,患者数も増加傾向であるが,一方で治療成績の向上により生命予後が良好で生存率も高い.ホルモン依存性乳がんに対する術後の再発予防の標準治療の一つとして抗エストロゲン療法は,重要な役割を果たしホルモン療法 1

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