鎮痛効果不良の原因は3通り 硬膜外無痛分娩中の産婦が最初は痛みがやわらいだにもかかわらず,途中から痛みを訴える場合(failing epidural),その原因は,①麻酔薬投与法が不十分,②硬膜外カテーテル先端位置が不適切,③麻酔以外の要因の3通りある.何らかの対処を要する例は,自験例でも報告でも10%前後に及ぶ.手術での硬膜外麻酔とは異なり,低濃度の局所麻酔薬を必要最小量で用いる硬膜外無痛分娩に特有の問題といえる.表1に硬膜外無痛分娩中の鎮痛効果不良の原因と対処を示す.麻酔薬投与法が不十分硬膜外カテーテルから投与する低濃度局所麻酔薬とフェンタニル混合液は,持続硬膜外注入(continuous epidural infusion:CEI)やPCEA,プログラム化間欠的硬膜外ボーラス投与法(programmed intermittent epidural bolus:PIEB)などの方法で鎮痛維持に用いられていることだろう.ここではシンプルなCEIを例にとる.硬膜外麻酔や鎮痛に用いられる局所麻酔薬は,注入容量(volume)が麻酔範囲を決め,局所麻酔薬濃度がどの神経を遮断するかを決定する.したがって,持続注入速度(mL/時)が少ないと麻酔範囲が十分に広がらない.一方で,適切な麻酔範囲が得られているにもかかわらず産婦が痛みを訴える場合は,その局所麻酔薬濃度が患者によっては薄すぎることが考えられる.交感神経は遮断されるが痛覚は遮断されない結果となる.1つの処方ですべての産婦に効果的な鎮痛が得られるわけではない.適切な定期的観察と分娩進行に応じた対処が求められる.硬膜外カテーテル先端位置が不適切硬膜外カテーテル挿入長が長い場合,前方硬膜外腔にカテーテル先端が位置して片効きとなることがある.適切な挿入長は,分娩進行が早いと予測されるときは2cm挿入し,分娩進行が遅かったり帝王切開が予想される場合は6cm挿入するのがよいとする報告 1)があるが,当科では1244脊髄幹鎮痛の応用1)鎮痛効果不良の対応経腟分娩の鎮痛(無痛分娩)第4章44Key point 最初はよく効いていた硬膜外カテーテルが途中から効かなくなる場合は3つの原因を考える. カテーテルの血管内迷入が鎮痛効果不良の原因のこともある. 追加投与の効果を適切なタイミングで見極めて,必要なら硬膜外カテーテル再挿入や脊髄くも膜下鎮痛に進む.Key point124124
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