2731消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン 2025
2/8

2本ガイドラインの目的1 本ガイドラインの目的は2018年版1)より受け継がれている.消化器外科の診療にあたる臨床医に実際的なSSI予防のための診療指針を提供し,効率的かつ適切な対処が行われること,さらに患者・家族をはじめとした市民にも外科感染症の理解を深めていただき,医療関係者とそれを受ける立場の方々の相互の納得のもとにより好ましい医療が行われ,消化器外科手術を受ける患者の予後を改善することは基本的な姿勢であり,変更はない.対象利用者2 本ガイドラインの対象利用者は,一般臨床医から消化器外科診療に従事する医師,さらには感染制御チーム(ICT)のスタッフまで,SSI予防の診療にあたるすべての医療スタッフである.対象疾患3 本ガイドラインの対象疾患は,消化器外科手術すべてであるが,すでに感染が生じている腹膜炎手術などは対象としない.本ガイドライン利用上の注意4 本ガイドラインはエビデンスに基づき記載しており,各医療行為のエビデンスを重視するとともに,日本の医療の現状を考慮し,推奨度を決定した.また,記載内容が多岐にわたるため,読者が利用しやすいように巻頭に目次とクリニカルクエスチョン(CQ)一覧,巻末に略語一覧と索引を設けた. ガイドラインはあくまでも最も標準的な指針であり,本ガイドラインは実際の診療行為を決して強制するものではなく,施設の状況(人員,経験,機器等)や個々の患者の価値観や嗜好などの個別性を加味して最終的に対処法を決定すべきである.また,ガイドラインの記述の内容に関しては学会が責任を負うものとする.しかし,治療結果に対する責任は直接の治療担当者に帰属すべきものであり,学会は責任を負わない.なお,本文中の薬剤使用量などは成人を対象としたものである.本ガイドラインの作成経過51)2018年版作成・出版 2016年4月にガイドライン作成のための作成委員会(WG)が結成された.ガイドライン作成方法を学習し,クリニカルクエスチョン(CQ)を設定し,CQごとにkeywordsを用いてPubMed,医中誌Web,コクランライブラリーでkeywordsを用いてシステマティックに文献検索を行った.GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムの作成手法に則り,各CQにおいて,アウトカムごとにエビデンスの確実性を決定した後に推奨度を検討し,ガイドライン案を作成した.2017年11月の日本外科感染症学会学術集会における公聴会でのご意見,ならびに2018年6月にいただいたパブリックコメント,協力団体および作成協力者からの外部評価を参考に,2018年7月1日と8月3日にWGで改定を加え,その内容を学会のホームページ(HP)に掲載するとともに,2018年11月に刊行した1).

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る