2731消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン 2025
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3ガイドラインの目的、使用法、作成法序章2)2025年版作成 2025年版はガイドライン改訂小員会に加えてSRチームの公募を行い,小委員会メンバー18名とSRチームメンバー10名による改訂委員会を構成し,客観的にエビデンスを抽出すべく文献検索および評価作業を行いつつ,次項の方法でガイドラインを作成し,2025年4月に公表した.本ガイドラインの作成方法61)企画(スコープ)作成 ガイドライン作成委員会は,まず,SSIの臨床的な特徴と日本における医療背景(保険診療,医療施設の状況等)を考慮しながら,診療ガイドラインがカバーする内容を検討し,ガイドラインにおいて推奨診療を提示すべき重要な臨床課題を再検討した. 2022年9月,第1回ガイドライン改定小委員会で作成基本方針と作成スケジュールおよびSRチーム公募の確認が行われ,ここでガイドラインはGRADEシステム2-8)の考え方を取り入れて作成することとなった.翌10月からCQ作成が開始された.2)クリニカルクエスチョン(CQ)作成と文献検索 ガイドライン作成委員は,企画(スコープ)で決定された重要な臨床課題に基づき,PICO(P:pa-tients,problem,population,I:interventions,C:comparisons,controls,comparators,O:outcomes)を構成要素としてCQを検討し,作成した.それぞれのCQからkeywordsを抽出し,学術論文を収集した.データベースは,英文論文はPubMedとコクランライブラリーを用い,日本語論文は医中誌Web版を用いた.検索語は,「手術部位感染」または「surgical site infection」を基本とし,CQごとにkeywordsを追加して検索した(検索式と検索結果,ワークシートは日本外科感染症学会HPに掲載). 論文検索期間は,2000年1月〜2022年12月とし,この期間外でも引用が必要な論文は検索期間外論文として明記した.また,keywordsからの検索では候補論文としてあがらなかったにもかかわらず引用が必要な論文はハンドサーチ論文として取り扱った. 収集した論文のうち,ヒトまたはhumanに対して行われた臨床研究を採用し,動物実験や遺伝子研究に関する論文は除外した.患者データに基づかない専門家個人の意見は参考にしたが,エビデンスとしては用いていない.3)システマティックレビュー(エビデンス総体の評価)の方法 エビデンス評価は以下の手順で行った.(1)CQから益と害のアウトカム抽出 CQに対する推奨文を作成するため,CQごとに「益」のアウトカムのみでなく「害」のアウトカムも含めて抽出し,各重要度を提示した.(2)各論文の評価:構造化抄録の作成 CQごとに検索された各論文を一次,二次選択を通じて選別し,文献の研究デザインの分類9)(表1)を含め,論文情報を要約した.なお,国家的な大規模研究で二群比較を行っているものについては観察研究(observational study:OS)とし,臨床症例の集積を行って解析した研究は症例集積研究(case series:CS)とした. 次に,個々のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)や観察研究に対して,バイアスのリスク(論文としての偏り)を判定した(表2)9).(3)推奨を支えるエビデンスの確実性の定義方法 CQに対する推奨文を作成するために下記の作業を行った.a. まず,上記(1)で提示されたアウトカムごとに,(2)で評価された個々の論文を総合的に評価・

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