■ 子宮内膜や,骨盤内にある子宮内膜症病変から,痛みの物質(プロスタグラン ■ 骨盤内に病変がない原発性月経困難症(機能性月経困難症)と,病変がある続ポイント解説基本情報(定義・疫学・病態)月経にまつわるもの月経困難症ジン:PG など)が過剰に産生される.発性月経困難症(器質性月経困難症)に分類される(以下の図参照). 月経困難症とは,月経に随伴して起こる下腹痛,腰痛などの病的症状を主体とし,月経を有する女性の QOL に著しく悪影響を及ぼし得る婦人科疾患の一つである.月経困難症は仕事や学校の欠席につながる可能性があり,女性の最大 50%が少なくとも 1 回の欠席を報告し,5~14%が頻繁な欠席を報告している1).月経困難症の原因として,子宮内膜や子宮内膜症病変における PG 過剰産生が考えられている(ポイント解説内の図).PG は,細胞膜リン脂質の一般的な構成成分であるアラキドン酸などの長鎖多価不飽和脂肪酸に由来する細胞内物質で,子宮内膜が剝離する際に崩壊する細胞から放出される PG の亢進は,子宮筋の過収縮を引き起こし,その結果,子宮筋の虚血と低酸素症を引き起こし,最終的には疼痛を引き起こすと考えられている2).ab 2 外来でよくみる疾患▲▲ 原発性月経困難症(a)と子宮内膜症(b:続発性月経困難症の一つ)108
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