2734こころとからだの“つらい”に寄り添う 女性外来診療
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第2章性成熟期(周産期含む)ポリープが形成されると考えられている1). 子宮内膜ポリープは子宮腔内に突出するように発育した子宮内膜由来の病変を指し,病理組織学的には腺上皮,間質,血管から構成され,有茎性あるいは無茎性(sessile)ポリープが,子宮腔内に単発性あるいは多発性に形成され,ポリープ自体の大きさは数 mm から数 cm まで様々である2). 子宮内内膜ポリープは 10~15%の頻度で無症候の性成熟期女性や閉経後女性で認められる3).いわゆる unopposed estrogen あるいは hyperestro-genism を惹起する可能性のある状態,すなわち肥満女性や閉経年齢が遅い女性,多囊胞性卵巣症候群(PCOS),エストロジェン産生腫瘍,乳癌術後でタモキシフェンを使用している例では,内膜ポリープの発症リスクが上昇する2).閉経期のホルモン補充療法が内膜ポリープの発生リスクになるかは相反する報告があり,一定の見解を得ていない4).異常子宮出血(AUB)の原因精査のため受診した女性の 20~30%に子宮内膜ポリープが認められるとされ,その頻度は閉経後女性での AUB で上昇する4).子宮内膜ポリープは不妊症の原因であり,摘除後に妊娠率が上昇する報告が多数ある2,3).出血症状のない不妊症女性で 6~32%に認められるとされる4).出血あるいは不妊症の程度とポリープの数,大きさ,発生部位との相関は必ずしも明らかでない2). 子宮内膜ポリープは,周囲の正常子宮内膜に比較して増殖性の亢進やアポトーシス抵抗性を獲得して細胞の寿命を伸ばすことにより,周期的な消退を繰り返す子宮内膜中で発育維持されていくものと考えられている2).これらの細胞の増殖動態の変化には性ステロイド受容体発現の変化や子宮腔内の炎症が影響を与えている可能性がある.小さな子宮内膜ポリープ(<10 mm)のなかには自然に退縮するものもあり,無症候性女性の約 25%では縮小あるいは消失するとの報告がある4).大部分が良性であるが,子宮内膜増殖症が混在しているものがあり,異型を伴う子宮内膜増殖症が約 1~3%に,内膜癌が 0.5~3%に認められると報告されている2~4).AUB の存在,高年齢,閉経後,大きなポリープおよびタモキシフェンの使用は癌合併のリスク因子である4).127器質的なもの 子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ

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