MASLD・MASH診療をはじめるために序2型糖尿病,インスリン抵抗性(Insulin Resistance:IR),脂質異常症,高血圧症などのCMRFを有する症例を捉える概念であり,「非アルコール性」という否定的なラベリングからの脱却と,CMRFの明確な強調を意図した改訂である 1,2).日本においても,日本消化器病学会・日本肝臓学会などが合同で非アルコール性脂肪性肝疾患(Nonalcoholic Fatty Liver Disease:NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(Nonalcoholic Steatohepatitis:NASH)の日本語病名の見直しを行い,2024年にMASLD・MASHの日本語名称が正式に決定した.名称や分類が変わっても,脂肪肝をきっかけに心血管・腎リスクを含めた全身管理を行うという基本姿勢は変わらない一方で,「誰をMASLDとして積極的に拾い上げるか」という入り口の設計がより明確になった点が,実地診療上の大きな変化といえる 3,5,6).AASLD,EASL-EASD-EASO,日本のガイドラインについて表1にまとめた. 2 AASLD流ステップ評価:健診の脂肪肝から“見逃してはいけない進行例”を拾い上げるAASLD Practice Guidance(2023年)は,一般住民全体への一律スクリーニングは推奨せず,2型糖尿病,肥満+CMRF,持続的肝酵素値の上昇などの高リスク集団に対象を絞った対象患者の囲い込みを推奨している.一次評価として年齢補正を行ったFIB-4 indexを用い,65歳以下では1.3(66歳以上では2.0)未満を進行線維化の除外域とし, 表1 アメリカおよびヨーロッパと日本のガイドラインのまとめ項目AASLD 2023/25EASL-EASD-EASO 2024日本ガイドライン・声明対象集団2型糖尿病,肥満+CMRF,持続的肝酵素上昇など高リスク例を対象にスクリーニングCMRF,肝酵素異常,画像脂肪肝,特に2型糖尿病・肥満+追加危険因子で体系的に症例を見つける健診・日常診療で脂肪肝・ALT値異常を契機にMASLD評価,高リスクでは線維化評価を推奨一次NITFIB-4 index<1.3(66歳以上は<2.0)で低リスクFIB-4 indexなど血液スコア<1.3(66歳以上は<2.0)で低リスクFIB-4 index,NAFLD fibrosis scoreなどカットオフ値・年齢補正は国際データを参考に記載二次NITVCTE(FibroScan ®)推奨LSM<8kPaでF2-4除外8〜15kPa超でF2-315kPa超でF3-4を強く示唆MRE/ELFも併用可VCTE,SWE,MREなどLSM 10kPa超や経時的上昇を肝関連イベントの高危険因子と位置づけVCTEなどエラストグラフィで補強し,高リスクなら専門医紹介具体的なカットオフ値は国際値を参照しつつ日本データも考慮生検の位置づけ疑診例・治験・複雑例に限定日常診療ではNIT主体大半の症例では不要だが,確定診断や治療判断で必要な場合あり従来型の位置づけを維持しつつ,NITの役割拡大を順次反映予定肝がんサーベイランスF3-4や肝硬変例で6か月ごとの腹部超音波検査±AFP高度線維化・肝硬変,VCTE LSM高値でのサーベイランス推奨肝硬変・高度線維化で従来通り肝がんサーベイランス(腹部超音波検査±AFP)を推奨CMRF:心代謝系危険因子.NIT:非侵襲的診断法.VCTE:振動制御トランジェントエラストグラフィ.SWE:超音波剪断波エラストグラフィ.MRE:MRエラストグラフィ.LSM:肝硬度測定.3A A SLD時代の新常識:MASLD診療を一気にアップデートする「世界標準+日本発」実践ガイドSLD時代の新常識:MASLD診療を一気にアップデートする「世界標準+日本発」実践ガイド
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