MASLD・MASH診療の基本と最新情報1発症・進展に関与する.加えて,肝脂肪蓄積は脂質異常を介してアテローム性動脈硬化症を促し,炎症や凝固・線溶異常を通じて血管内皮障害や血栓形成を助長し,心血管イベントのリスクを高める.2型糖尿病患者の死因として悪性新生物が最大の割合を占め,その内訳では肝がんが,肺がん・膵がんに次ぐ主要部位を占める(図2) 3).さらに肝硬変による死亡を加えると,糖尿病診療における肝関連死の比重は決して小さくないことが明らかとなる.このため,2型糖尿病とMASLDを一体に捉えた包括的管理は,心血管イベントのみならず肝関連合併症の抑制にも不可欠である. 2 いかにして高リスクMASLD患者を拾い上げるか?アメリカ糖尿病学会は,アメリカ・ヨーロッパ・日本の肝臓学会と同様に,糖尿病診療におけるMASLD患者のリスク評価として,FIB-4 indexを入口とした段階的スクリーニングを推奨している.対象は2型糖尿病や糖尿病予備群,とくに肥満,脂質異常症,高血圧症など心代謝系危険因子を併存する症例である.FIB-4 indexが1.3未満(66歳以上では2.0未満)であれば低リスクと判断し,プライマリ・ケアでの経過観察が妥当とされる.一方,1.3以上ではVCTEによる肝硬度測定や,2024年に日本でも保険収載されたELFテストによる追加評価が推奨される.さらに2.67を超える場合には,専門医への紹介が望ましい.アメリカ糖尿病学会の診療ガイドラインでは,「肝酵素値が正常範囲であったMASH肝硬変・肝がんMASLD中性脂肪↑ Small dense LDL↑ HDL↓炎症性サイトカイン↑凝固・線溶異常↑心血管イベント動脈硬化症肝糖新生↑肝インスリン抵抗性↑酸化ストレス↑小胞体ストレス↑炎症性サイトカイン↑脂肪毒性↑アポトーシス,ネクローシス↑2型糖尿病□□□□□□□脂肪合成↑遊離脂肪酸↑ 図1 MASLD・MASHと2型糖尿病の相互関連41D D メタボリックシンドロームとMASLD:切っても切れない関係?メタボリックシンドロームとMASLD:切っても切れない関係?
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