2755リウマチ・膠原病診療スタンダード
8/12

章1第 SLE は多臓器を侵す自己免疫疾患であり,活動性の波状的変化を踏まえた長期管理が必須である. 皮膚病変は重要なバイオマーカーであり,診断・病勢評価の起点となる. 診断は 2019 ACR/EULAR 分類 基準を参考にしつつ,皮疹所見,血清学,生検を統合して行う. 治療は HCQ を基盤とし,疾患活動性および臓器障害の程度に応じて,グルココルチコイドを最小限に抑えつつ,免疫抑制薬や生物学的製剤を適切に組み合わせる. 寛解・LLDAS の維持と生活指導(紫外線,感染予防,妊娠支援)が長期予後を左右する. 本章では,全身性エリテマトーデス(system-ic lupus erythematosus:SLE)の基礎から最新の治療法まで,その診断基準,皮膚病変の多様性,重症度評価,病理組織学所見などを総合的に解説します.特に,筆者が皮膚科専門医として SLE は,自己免疫の破綻を背景とする全身性炎症性疾患です.皮膚・粘膜,筋骨格系,腎臓,中枢神経系,造血系,循環器系,呼吸器系など,多岐にわたる臓器に障害を引き起こします.男女比はおよそ 1:9 と女性に圧倒的に多く,好発年齢は思春期から中年期にかけてですが,小児例や高齢発症例も存在します. 「ループス(lupus)」とは,全身性疾患であるSLE を中核として,皮膚,腎臓,中枢神経など特定臓器に主座を置く病態や,皮膚限局型の病型を含む総称です.ここで,本章で用いる SLE関連の主な用語の関係性を表 1 に整理しておきます.1.病態と発症機序A SLE とは何か?Key Learning Points培った実践的な視点から,SLE における皮膚病変の臨床的意義と診断への寄与に焦点を当て,皮膚所見を起点に全身病勢を読み解くアプローチ法を提示します. SLE の病態の中心には,種々の自己抗体[抗核抗体(antinuclear antibody:ANA),抗二本鎖DNA(double‒stranded DNA:dsDNA)抗体,抗Sm 抗体等]の産生と,それらにより形成された免疫複合体の沈着による組織障害があります.加えて,補体の低下,T 細胞・B 細胞の活性化異常,インターフェロン(interferon:IFN)シグナルの持続的活性化などが病態進展に関与していると考えられています.環境要因(紫外線,ウイルス感染,喫煙,薬剤等)と遺伝的素因(HLA‒DRB1,IRF5,STAT4 等)の複合的な相互作用により免疫恒常性が破綻し,自己免疫応答が惹起されると考えられています.22全身性エリテマトーデス(SLE)全身性エリテマトーデス(SLE)

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る