613検体の種類別による測定値の差a.全血と血漿・血清の差異b.採血部位による差異110偽高値がみられるため,ヨウ素を含む外用薬の使用部位からの採血を避ける必要がある3). 検体処理上重要な点は,採血後測定までの間の解糖阻止である.採血後の血液をそのまま室温に放置すると,赤血球などの血液中の細胞に含まれている解糖系酵素による解糖反応が進行し,グルコースの値が経時的に低下するため(約10%/時間程度),通常,血糖測定用の採血管にはNaFなどのフッ化物塩やクエン酸などの解糖阻止薬が含まれている.NaFが添加されている採血管を使用した場合にも血糖値は若干の低下を示すため,採血後できるだけ速やかに分離することが望ましい.ブドウ糖負荷試験などの場合には検体を低温で保存するなどの注意が必要である.多項目自動化学分析装置などによって,他の生化学検査と同時に血糖も測定する場合には,解糖阻止薬が含まれていない採血管が使用される場合もあり,測定された血糖値が低目に出ることがあるため注意が必要である. 全血検体によって測定された血糖値は,含有水分量の差により,血漿・血清を検体とした場合に比べて約10%低値とされている.臨床的には,ヘマトクリット値が30%以下では,血漿・血清検体による測定値が全血検体測定値より低値となり,逆にヘマトクリット値が60%以上では,血漿・血清検体による測定値が全血検体測定値より高値となることを理解しておく必要がある. 末梢組織でグルコースが消費されるため,血糖値は動脈血>毛細血管血>静脈血の順に低下する.通常,空腹時採血では,静脈血は毛細血管血より数mg/dL,動脈血より10 mg/dL程度低値であるが,食後やブドウ糖負荷試験後にはその差が拡大し,それぞれ10〜1単位 血糖値の単位は,わが国や米国ではmg/dL,欧州な2検体と検体処理 生体内には,糖質としてブドウ糖(グルコース),果糖,ガラクトース,マンノース,五炭糖などが存在するが,一般に血糖値とは血中グルコース濃度を意味し,その測定は糖尿病の診断・治療(血糖管理)を行っていくうえで必要不可欠な検査である1,2).どではmmol/Lで表記されている,グルコースの分子量は180(1 mol=180 g)であり,例えば血糖値90 mg/dL=5.0 mmol/Lと換算される. 血糖測定の採血部位は,静脈血,毛細血管血(指先,耳朶など),まれに動脈血などが使用される.検体としては,静脈血漿,静脈血清,静脈全血,毛細管血があるが,臨床で頻用されるのは静脈血漿である.血糖自己測定には毛細管血が用いられる. 血糖検査機器ごとに測定検体は異なり,全血,血漿,血清のいずれもが使用可能であるが,一般に解糖系を有する赤血球を含む全血には誤差因子が多く,糖尿病診断には基本的に血漿値が使われる.血漿分離には凝血(通常室温30分間)を必要としないため,凝血後に遠心する血清に比べて測定までの時間が節約できるなどのメリットもある.簡易血糖測定器の場合は,毛細血管からの全血を検体とする. 酵素電極法を用いた血糖測定器を使用する場合には,患者皮膚に残留したヨウ素系消毒薬の混入による血糖値(簡易測定も含む)検査の意義と評価法臨床検査の意義と評価法
元のページ ../index.html#4