2759糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第10版
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第10章2インスリン分泌膵β細胞惹起経路増幅経路ブドウ糖ミトコンドリアインスリン分泌顆粒脱分極ATP感受性KチャネルGLP-1受容体GLP-1GIPcAMPGIP受容体電位依存性CaチャネルK+ATPGLUT2Ca2+インスリン分泌10 薬物療法図4 インクレチンのインスリン分泌促進作用のメカニズム267改善に寄与するが,DPP-4阻害薬では血中インクレチン濃度の上昇が生理的範囲にとどまるため,明確な胃排出遅延作用は認められていない. DPP-4阻害薬はインスリン分泌促進系であるが,単独で用いた場合には低血糖リスクが低く,体重増加をきたしにくい.特に非肥満,インスリン分泌不全を特徴とする東アジア人の2型糖尿病では欧米の白人に比べ,本薬の血糖改善効果が大きいことが報告されている6).わが国の2型糖尿病の病態的特徴に加え,処方状況や低血糖を含めた安全性の観点から,「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」においても,インスリン分泌不全が病態の主体である非肥満の2型糖尿病においては,安全性・有効性の関連からよい適応とされている7). 現在,9種類のDPP-4阻害薬(シタグリプチン,ビルダグリプチン,アログリプチン,リナグリプチン,テネリグリプチン,アナグリプチン,サキサグリプチン,トレラグリプチン,オマリグリプチン)が使用可能である(表4).HbA1c改善作用に大きな差異を認めない一方,作用持続時間の違いから1日1回もしくは1日2回服用するものと週1回服用するものに分かれる.代謝や排泄経路の関係から,腎機能障害を有する患者では減量が必要とされる製剤がある.また,肝機能障害を有する患者に対して,禁忌もしくは慎重投dependent insulinotropic polypeptide)およびGLP-1(glu-cagon-like peptide-1)が主要なインクレチンとして同定されている1).GIPおよびGLP-1は膵β細胞に発現するそれぞれの受容体(GIP受容体,GLP-1受容体)に結合し,Gsシグナルを活性化することで血糖依存性インスリン分泌(glucose-induced insulin secretion:GIIS)を増強する(図4). 近年,慢性高血糖状態にある膵β細胞では,GLP-1がGsではなくGqシグナルを介してGIISを増強することも報告されている2).また,GLP-1は消化管近傍の神経節を刺激し,迷走神経を介してインスリン分泌を増強する作用を有する3).さらに,GLP-1は膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制することにより血糖改善作用を発揮する.GIPおよびGLP-1は消化管から分泌されたのち,血中のDPP-4(dipeptidyl peptidase-4)により速やかに分解され生理活性を失う.このため,DPP-4活性を阻害することで内因性GIPおよびGLP-1の濃度と作用を持続させ,血糖改善効果を得る薬剤としてDPP-4阻害薬が開発された. なお,DPP-4阻害薬の血糖改善効果に対するGIPとGLP-1の寄与度が2型糖尿病をもつ人や実験動物で検討されている.慢性高血糖状態では,GIPのインスリン分泌増強作用が減弱することが報告されているが,DPP-4阻害薬の血糖改善効果にはGIPの存在が重要であることが再認識されている4, 5). GLP-1受容体作動薬では,胃内容物排出遅延が血糖DPP-4阻害薬の適応と使用法

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