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臨床遺伝専門医テキスト

臨床遺伝専門医テキスト① 臨床遺伝学総論診断と治療社 | 書籍詳細:臨床遺伝専門医テキスト① 臨床遺伝学総論

臨床遺伝専門医制度委員会 監修

初版 B5判 並製 196頁 2021年07月30日発行

ISBN9784787823670

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定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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日本人類遺伝学会,日本遺伝カウンセリング学会の共同運営による,臨床遺伝専門医制度委員会が監修した,臨床遺伝専門医テキストシリーズ.本シリーズは「臨床遺伝学総論」「生殖・周産期領域」「小児領域」「成人領域」「腫瘍領域」の5冊からなり,今回,第1弾となる「臨床遺伝学総論」が満を持しての刊行となりました.臨床遺伝専門医を目指す医師,必読の書です.

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目次

発刊にあたって   小崎健次郎
発刊にあたって   櫻井晃洋
『臨床遺伝専門医テキスト』総編集の序   蒔田芳男
『臨床遺伝学総論』編集の序   山田崇弘/中山智祥/三宅秀彦/渡邉 淳
本書における用語について  
執筆者一覧  

1.臨床遺伝学の基本
 A 臨床遺伝学とは   川目 裕
 B 臨床遺伝専門医の役割と遺伝診療   川目 裕
 C 遺伝カウンセリング   川目 裕

2.臨床遺伝学診療に必要な知識
 A 基本的な知識  
  1 メンデル遺伝   佐々木愛子
  2 非メンデル遺伝   尾内善広
  3 細胞遺伝学   倉橋浩樹
  4 分子遺伝学   三宅紀子
  5 集団遺伝学/多因子遺伝学   小橋 元
  6 エピジェネティクス    太田 亨
  7 腫瘍遺伝学   岩泉守哉
  8 遺伝生化学   下澤伸行
  9 生殖・発生遺伝学   鈴森伸宏
 B 臨床遺伝学におけるエビデンス   難波栄二
 C 遺伝医療・研究に必要なデータベース   才津浩智
 D 遺伝医療に必要な社会資源   沼部博直

3.臨床遺伝学的診察
 A 遺伝医療に必要な情報収集   松尾真理
 B 遺伝学的診察   德富智明

4.遺伝学的検査
 A 遺伝学的検査の基本   松下一之
 B 遺伝学的検査の手法   中村公俊
 C 遺伝学的検査の臨床適用   佐村 修
 D 遺伝学的検査結果の表記法と解釈   梅村啓史
 E 遺伝学的情報の管理   玉置(橋本)知子

5.遺伝学的マネジメント
 A 遺伝学的マネジメントの基本と診療のすすめ方   古庄知己

6.遺伝医学における倫理
 A 臨床倫理と研究倫理   吉田雅幸

7.遺伝学的研究
 A 遺伝学的研究の基礎   青木洋子

8.遺伝教育
 A 医療従事者を対象とした教育   岩﨑直子
 B 一般啓発活動   岩﨑直子

9.遺伝医療とコミュニケーション
 A 遺伝医療に必要なコミュニケーションスキル   小林朋子
 B 医療者間コミュニケーション   小林朋子
 Column 遠隔遺伝カウンセリング   福島明宗

10.医療システムにおける遺伝医学
 A 遺伝医療にかかわる社会的規制   湯地晃一郎
 B 遺伝医療と医療経済   湯地晃一郎
 C 遺伝医療と医療安全   湯地晃一郎

索 引

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序文

発刊にあたって

 臨床遺伝学は人類遺伝学の原理を診療に応用する分野です.近年のゲノム解析技術の飛躍的な進歩を受けて,難病やがんの診断に大きく貢献しています.今後は遺伝子編集技術や遺伝子治療ベクターの発展を受けて,さらに治療学分野として発展することが期待されます.数千を数える遺伝性疾患の発症時期は胎児期・新生児期から老年期にわたり,罹患臓器は全身におよび,臨床遺伝学の知識体系は既に膨大です.新規疾患の発見や多因子疾患分野での臨床応用の進展など,今後も拡大を続けることでしょう.出生前診断や着床前診断,網羅的遺伝子診断に伴う二次的所見の開示など生命倫理上の課題も増え,患者さんごとに提供すべき遺伝カウンセリングのあり方も変わってゆくと予期されます.
 全方向に発展を遂げる臨床遺伝学分野において,新しい医療の先導者となる専門医を育てるためには,基礎となる理論を提示したうえで,診療現場での理論の実践を促し,応用力の涵養を図る以外の良法はありません.本書は臨床遺伝専門医をめざす各診療科の医師に対して,学習上の明確な里程を示すことを目指して編纂されました.臨床遺伝専門医が,自身の臓器別・年齢別・性別の専門領域を問わずに共有すべき理論と知識について,各分野で診療と研究に邁進される気鋭の臨床遺伝専門医の方々に解説をいただきました.
 臨床遺伝専門医を目指される医師が,本書を手がかりとして,経験された遺伝性疾患についてOMIMやGeneReviewsなどの網羅的な知識ベースをひもとかれ,一次文献を精読され,最新の臨床遺伝学を遺伝性疾患の患者さんやご家族の診療に生かされること,さらには研究を通じて新しい知見や理論を生み出され,次世代の臨床遺伝学を切り拓かれることを願ってやみません.
 最後になりますが,本書の企画・制作に情熱を捧げられた,日本人類遺伝学会前理事長の松原洋一教授,臨床遺伝専門医制度委員会委員長・本シリーズ総編集 蒔田芳男教授,同じく総編集 櫻井晃洋教授,遺伝医学セミナー実行委員会委員長 佐村修教授をはじめとするすべての関係者の方々に感謝を申し上げたいと思います.

2021年6月

一般社団法人日本人類遺伝学会
理事長  小崎健次郎


発刊にあたって

 臨床遺伝専門医を目指す医師のための,待望のテキストが刊行されました.
 日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で運営する臨床遺伝専門医制度は,日本遺伝カウンセリング学会の前身である日本臨床遺伝学会による遺伝相談認定医師カウンセラー制度と,日本人類遺伝学会による臨床遺伝学認定医制度を発展的に再構築し,21世紀のスタートと同時に2001年から制度化されたものです.20年の歴史の中でこれまでに1,500名を超える医師が臨床遺伝専門医として認定され,各方面で活躍しています.ゲノム医療の急速な発展に伴い,臨床遺伝専門医に求められる医療は領域も内容も,ますます広く深くなっています.
 これまで,わが国には臨床遺伝専門医を目指す医師のためのテキストがありませんでした.このため,両学会が主催するセミナーの資料や海外の臨床遺伝学領域の書籍などがテキストとして用いられる状況が長く続いていました.これは医学部卒前教育も同様で,もともと医学教育モデル・コア・カリキュラム(コアカリ)に臨床遺伝学領域の内容が記載されていなかったため,多くの大学では教員の熱意によってそれぞれ独自の臨床遺伝学教育が行われてきたという経緯があります.こちらは2016年度の改訂でコアカリに「遺伝医療・ゲノム医療」が追加され,これに基づいて日本人類遺伝学会による卒前教育のためのテキスト『臨床遺伝学テキストノート』が刊行されました.
 臨床遺伝専門医についても,2019年度にその到達目標が改訂されたのを機に,日本のこれからの臨床遺伝学を支える人材を育成するための基盤となる教科書刊行が計画され,このたびこの5分冊からなる『臨床遺伝専門医テキスト』を皆さまにお届けすることになりました.
 本書は,構想の段階から刊行まで,編集,執筆にあたられた日本の臨床遺伝学のリーダーである多くの先生方の並々ならぬ熱意,そして私たちの思いを共有し多くの難題に直面しつつも最後までご支援くださった株式会社 診断と治療社の方々の熱意の賜物です.本書の制作にかかわってくださったすべての方々に心から御礼申し上げます.
 本書が,臨床遺伝学を学ぶ意欲ある方々の必携の書としてお役に立つことを願っています.

2021年6月

一般社団法人日本遺伝カウンセリング学会
理事長  櫻井晃洋




『臨床遺伝専門医テキスト』総編集の序

 ここに,日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会員自らが執筆した『臨床遺伝専門医テキスト』をお届けします.
 日本における医学生向け遺伝学教科書の金字塔である『医科遺伝学』(南江堂,1991年)の序文には,1979年にアメリカ人類学会誌の編者であるD. Comingsが,遺伝子研究開始以後の遺伝学に対して命名した造語である“New Genetics”が引用され「遺伝子診断,遺伝子治療などの先端技術が医療の中でどう扱われるべきか,その倫理面の検討が問題にされつつある」と記載されています.『医科遺伝学』から30年を経て,私たち医師は,この“New Genetics”を現実の医療の中で実際に扱う局面に立たされていると言えます.
 日本人類遺伝学会では,すべての医師が,“New Genetics”の担い手としての臨床遺伝学を習得すべきであると考え2013年に「医学部卒前遺伝医学教育モデルカリキュラム」を共同で作成し公開しました.この内容は,平成28年(2016)改訂「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に取り込まれることになり,2018年に『コアカリ準拠 臨床遺伝学テキストノート』(診断と治療社)の発刊に繋がっています.
 しかしながら,実際の“New Genetics”の担い手へのテキストは,「翻訳物が多い」「日本の実態にそぐわない」などの状態が続いており,日本の臨床遺伝専門医になるための必須の知識の整理を求める機運が高まってきました.折しも2019年に臨床遺伝専門医到達目標が全面的に改定され行動目標となったタイミングで,この『臨床遺伝専門医テキストシリーズ』が企画されることになったわけです.本書は,日本での臨床遺伝学の実践に関わる4つの領域(生殖・周産期,小児,成人,腫瘍)の別冊と総論の5冊で構成されています.臨床の現場と直結する内容を領域別の分冊とした理由は,時代とともに順次改訂され,常にアップデートな内容を維持するためです.今後のアップデートにも期待いただきたいと思います.
 編集者と執筆者は,臨床遺伝専門医制度における専攻医のみなさんが,このテキストを用いることで,日本における臨床遺伝学の実践を肌で感じることができると信じています.専攻医が,研修を始め専門医取得に至るステップについては,臨床遺伝専門医制度委員会HP(http://www.jbmg.jp/examinee/index.html)「臨床遺伝専門医を目指す方へ」をご覧いただきたいと思います.
 本書の構想から実現には,(株)診断と治療社の編集者の方々(堀江康弘/柿澤美帆/川口晃太朗/前原宏美/小林雅子/吉田洋志/坂上昭子/土橋幸代)に継続的でかつ多大な援助をいただきました.また,両学会の関係者のみなさまや,5分冊の編集を担当していただいた先生方の力添えがあってこそ,この本を世に問うことができたと思っております.合わせて感謝申し上げます.

2021年6月

臨床遺伝専門医制度委員会
委員長  蒔田芳男



『臨床遺伝学総論』編集の序

 臨床遺伝専門医制度が2001年に発足してから早いもので20年になります.この間多くの臨床遺伝専門医が認定され,2021年6月現在1,560名がわが国の臨床遺伝,遺伝学研究,遺伝教育など多分野で活躍しています.臨床遺伝専門医を取得するための研修には日本人類遺伝学会または日本遺伝カウンセリング学会に入会し,日本専門医機構が定める基本領域学会専門医または制度委員会が認める専門医(認定医)資格を取得して,研修開始届を出す必要があります.その後に臨床遺伝専門医制度委員会が定める所定の研修を積んで3年後に専門医認定試験を受けていただくことになります.この臨床遺伝専門医の研修で,専門医としての知識・技能・態度を身につける必要があります.技能および態度に対しては臨床遺伝指導医の下で遺伝カウンセリングへの陪席や対面指導を受けたりする他,日本人類遺伝学会や日本遺伝カウンセリング学会などが主催する各種セミナーにおけるロールプレイなどで研修を行います.一方知識の研修としては両学会等の主催するセミナーの講義を聴講することや各種教科書での自習で身につけることになります.
 しかし,これまではこの臨床遺伝専門医制度の到達目標に準拠した教科書というものがありませんでした.そのために日本人類遺伝学会主催の遺伝医学セミナーのプログラムも『トンプソン&トンプソン遺伝医学』のテキストに基づいて組まれていましたが,必ずしも臨床遺伝専門医制度の到達目標に合致していない部分もありました.そこで,この到達目標が2019年に全面的に改定され行動目標となったことを契機に,この『臨床遺伝専門医テキストシリーズ』が企画されました.中でもこの『①臨床遺伝学総論』は臨床遺伝専門医行動目標を網羅するコア部分に相当するため,遺伝医学セミナーのプログラムもこれからは本テキストに基づいて構成されますし,認定試験においても試験範囲に相当します.まさに,本書はわが国の臨床遺伝専門医の基盤となりますので執筆陣は選りすぐりの臨床遺伝指導医を中心に依頼をいたしました.
 また,このテキストシリーズは今後本総論に続いて生殖・周産期領域,小児領域,成人領域,腫瘍領域各分野の出版準備が進んでおり,全5分冊になる予定です.本テキストで学習することでわが国の臨床遺伝の未来を支える多くの臨床遺伝専門医が誕生することを期待して総論の序文といたします.

2021年6月

『臨床遺伝学総論』責任編集  山田崇弘
編集  中山智祥
三宅秀彦
渡邉 淳