HOME > 書籍詳細

書籍詳細

てんかん専門医ガイドブック 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:てんかん専門医ガイドブック 改訂第2版
てんかんにかかわる医師のための基本知識

日本てんかん学会 編集

改訂第2版 B5判 並製 468頁 2020年12月25日発行

ISBN9784787824172

定価:9,900円(本体価格9,000円+税)
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


2017年の国際抗てんかん連盟の分類に依拠し,概念や分類,病因,診断,検査,治療などの総論をはじめ,新生児から高齢者までの各年代別の重要なてんかんや遺伝子研究結果に基づく特殊てんかんの最新知識,外科治療などを解説した各論,さらには妊娠,運転,生活支援についても具体的に紹介.てんかん専門医に必要な知識をできるだけ偏らず,かつ過不足なく編集.また新たに過去の専門医試験50問を厳選し解説も収載.専門医試験を受験する医師のみならず,てんかん診療にかかわるすべての医師必携のガイドブック.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

カラー口絵
刊行によせて(改訂第2版)
刊行によせて(初版)
序文(初版)
序文(改訂第2版)
編集委員・執筆者・編集協力者一覧(改訂第2版)
編集委員・分担執筆者一覧(初版)
略語一覧


Ⅰ   総   論
第1章   てんかんの疫学・分類
  1.概念・定義・有病率・発生率
  2.分類   (1981年,1989年,2017年の比較)
第2章   てんかんの病因・病態生理
  1.てんかん原性と伝播
  2.てんかんの責任遺伝子と遺伝子診断
    ①チャネロパシーとしてのてんかん責任遺伝子
    ②その他のてんかん発作を呈する神経疾患の遺伝子変異(脳形成異常・PME)
    ③遺伝子診断の可能性と問題点
  3.てんかん原性の病理
  4.病因分類(2017年ILAEてんかん分類)
  5.発達性てんかん性脳症
第3章   てんかんの診断
  1.新生児
  2.小児
  3.成人
  4.高齢者
  5.精神症状の診断
  6.焦点起始発作の発作症候・側方徴候
  7.全般起始発作の発作症状
  8.てんかんにおける突然死(SUDEP)
第4章   てんかんの検査
  1.臨床神経生理
    ①脳波・脳磁図の原理と解釈
    ②正常脳波と発作間欠期脳波
    ③睡眠関連てんかんと睡眠障害―成人
      睡眠関連てんかんと睡眠障害―小児
    ④小児の脳波とその異常
    ⑤発作時ビデオ脳波
    ⑥頭蓋内脳波記録
    ⑦脳磁図解析と焦点局在推定
    ⑧経頭蓋磁気刺激
  2.神経画像
  3.機能画像
  4.神経心理
  5.変性・代謝疾患,急性症候性発作,失神
第5章   てんかんの治療
  1.薬物治療
    ①抗てんかん薬の吸収・代謝・排泄・TDM
    ②抗てんかん薬の代謝と副作用に関連する遺伝子
    ③初発発作の薬物治療
    ④薬物治療の終結
    ⑤身体疾患治療薬や他の薬剤との相互作用
    ⑥抗てんかん薬の作用機序と副作用
  2.小児・思春期てんかんの薬物治療
  3.小児の特殊治療(ACTH,ケトン食など)
  4.成人てんかんの薬物治療
  5.妊娠適齢期てんかん患者の薬物治療
  6.高齢者てんかんの薬物治療
  7.合併する心因性非てんかん発作,精神症状の治療
  8.てんかん重積状態における診断と救急治療
    ①けいれん性てんかん重積状態の診断と薬物療法―小児
      けいれん性てんかん重積状態の診断と薬物療法―成人
    ②非けいれん性てんかん重積状態
    ③脳炎によるてんかん重積状態
    ④その他の急性病態
  9.外科治療総論
    ①てんかん外科治療の適応
    ②切除外科,遮断外科,緩和的外科治療
  10.医療連携・体制・社会生活
    ①職種,専門医,診療科,施設間の連携
    ②倫理,医療支援カウンセリング
    ③医療・福祉サービス
    ④てんかん患者の社会参加とリスク管理
    ⑤自動車運転に関する説明指導
    ⑥てんかんに関連する法律
    ⑦生活の質(QOL)
    ⑧てんかんの移行診療

Ⅱ   各   論
第1章   新生児・乳児てんかん
  1.熱性けいれん
  2.年齢依存性てんかん性脳症
    ①大田原症候群
    ②West症候群
    ③Lennox-Gastaut症候群
  3.新生児てんかん
    ①自然終息性家族性新生児てんかん・自然終息性新生児発作
    ②症候性新生児発作
  4.乳児てんかん
    ①Dravet症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)
    ②乳児ミオクロニーてんかん
    ③ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん
第2章   小児てんかん
  1.中心・側頭部に棘波を示す小児てんかん(CECTS)
  2.Panayiotopoulos症候群,Gastaut型小児後頭葉てんかん
  3.睡眠時持続性棘徐波(CSWS)を示すてんかん性脳症
  4.Landau-Kleffner症候群(Acquired epileptic aphasia:後天性てんかん性失語)
  5.小児欠神てんかん
第3章   青年期てんかん
  1.若年欠神てんかん
  2.若年ミオクロニーてんかん
  3.全般強直間代発作のみを示すてんかん
  4.反射てんかん
  5.視覚誘発てんかん
第4章   焦点てんかん
  1.側頭葉てんかん
  2.前頭葉てんかん
  3.頭頂葉てんかん
  4.後頭葉てんかん
第5章   遺伝子異常等によるてんかん・特殊てんかん
  1.先天性代謝異常症
  2.進行性ミオクローヌスてんかん(PME)
  3.染色体異常
  4.最近定義された遺伝子異常によるてんかん症候群
  5.Rasmussen症候群
  6.皮質下起源のてんかん(視床下部過誤腫など)
  7.外傷後てんかん
  8.神経皮膚症候群に伴うてんかん
第6章   外科治療・特殊治療
  1.内側側頭葉てんかん
  2.新皮質てんかん
  3.腫瘍関連てんかん
  4.脳梁離断術
  5.大脳半球離断術
  6.迷走神経刺激療法
  7.その他の植込型電気刺激療法
  8.焼灼術
  9.経頭蓋磁気・電気刺激
第7章   てんかんでみられる精神症状と心理学的課題
  1.知的発達症,自閉スペクトラム症
  2.思春期・成人における発達障害
  3.発作周辺期精神病
  4.発作間欠期精神病
  5.てんかんの精神医学的・心理学的側面
  6.抗てんかん薬による精神症状

Ⅲ   てんかん専門医試験(過去問解説)
  Q1~Q50

索引

ページの先頭へ戻る

序文

刊行によせて(改訂第2版)

 日本てんかん学会が監修し,本会員が執筆した教科書である「てんかん専門医ガイドブック」初版が2014年に刊行されて早5年以上が経過しました.初版は,兼子 直 前理事長のリーダーシップのもと,まさに本学会が総力を挙げて,実に広いてんかん学の領域をカバーし,基礎的知識から臨床の幅広い範囲までをわかりやすく簡潔にまとめあげて作成されました.てんかん治療に携わる一般臨床家,てんかん研究を展開する研究者にも広く受け入れられ,発行部数的にも大変好評でした.
 その後刊行から比較的短い期間ながらも,本分野では大変多くの進歩がありました.2017年に国際抗てんかん連盟から最新てんかん分類と発作分類が提唱され,臨床てんかん学(自己免疫てんかんの概念,高齢者てんかんの増加,移行医療の問題,てんかん外科の新しい展開など)および基礎てんかん学の発展(グリアの関与など),国内外でのてんかんの社会的認知(てんかんの地域整備事業の普及,てんかんに関連する自動車運転免許と道路交通法の社会的整備),WHOレベルの世界的動向(2015年のWHO総会でのてんかん制圧の決議),またこの短期間に数種類の新規抗てんかん薬が国内で上市され,様々な大きな発展がありました.この状況下で,本書の改訂が本学会てんかん専門医委員会(委員長・小林勝弘理事)が中心の編集委員会により,2019年から改訂作業が開始され,その間編集委員会と各執筆の先生方のご尽力により多くの内容が短時間で改訂されました.改訂第2版は初版のポリシーを尊重して,すべての重要事項を網羅してかつ非常に簡潔にまとめられ,てんかん専門医およびそれを目指す医師だけでなく広い読者層にさらに利する内容となり,編集委員会ではたとえば発作分類とてんかん分類が改訂後で用語の齟齬がないようになど,内容は徹底的に検討されました.
 2020年3月以降コロナ禍という100年に一度の世界的激震に見舞われ医療へ大きな影響がありましたが,予定通り本書が出版できましたことは関係のすべての皆様のおかげと感謝申し上げます.また本学会のてんかん専門医は当初の制度設計が着実に実を結び,2020年10月以降,日本専門医機構のサブスペシャルティ領域専門医制度への申請手続きを開始しました.
 21世紀の現代社会で,てんかんは有病率1%に迫る全世代に起こる国民病となりまさに「from cradle to grave(ゆりかごから墓場まで)」にかかわりますが,正しい診断で治療可能な疾患です.本書が,てんかん専門医を目指す医師の皆様だけでなく幅広い分野の皆様にご活用いただけますことを祈念します.
 最後に,改訂第2版の出版にあたり,多くの執筆者と査読者の皆様,小林勝弘委員長はじめ編集委員会の皆様,診断と治療社の編集者の皆様に心から感謝申し上げます.

2020年10月

日本てんかん学会 理事長

池田昭夫



刊行によせて(初版)

 日本てんかん学会が監修し,てんかん学会員自らが執筆した,学会としては初の教科書ともいえる「てんかん専門医ガイドブック」が本書です.てんかんの疫学から始まる総論,各年代別に重要なてんかんや外科治療だけでなく,最近の遺伝子研究結果が加味された特殊てんかんなど最新の知識がよくまとめられており,本書は多くの方々に幅広くご利用いただけるのではないかと考えております.
 新たな専門医制度の発足に際し,専門医取得の基準となるガイドブックの必要性を感じたてんかん学会の教育委員会では,2012年,専門医ガイドブック編集委員会を組織しました.ガイドブックに含まれるべき内容の検討,本学会の理事・評議員・専門家からなる執筆陣の構成,執筆方針に基づいた手直し,幾度にもわたる査読会など,編集委員会と各執筆の先生方の努力の結晶として生まれた本書は,学会活動の大きな成果ともいえます.
 本書は,最も合格が困難といわれている「日本てんかん学会の専門医」を目指す医師の方々をサポートすることを目的の一つとして発刊されました.てんかん研究およびその周辺科学が急速に進歩し,その結果がてんかん臨床に導入され,医師が学ぶべき事柄が急速に増加しています.このような状況下で,専門医合格に必須な知識を厳選した内容となっております.
 本書が専門医試験受験者にとっての羅針盤となるだけでなく,将来にわたり,てんかん専門医試験受験者にとりバイブルとなることを期待しています.また,てんかん治療に携わっている臨床家,てんかん研究を展開している研究者にとっても,素晴らしい参考書となったと自負しております.
 企画から完成まで中心となって牽引された専門医ガイドブック編集委員長 亀山茂樹理事,編集委員各位および執筆に協力された学会員諸兄姉に,本書出版を企画した学会前理事長として,感謝と敬意を表します.

2014年3月

日本てんかん学会 前理事長

兼子 直



序 文(初版)

 日本てんかん学会が監修した「てんかん専門医ガイドブック」がようやくできあがりました.学会として初めての教科書的なものです.学会員をはじめ,てんかんに興味をもつ全ての人が,てんかん学について学びやすくなることは間違いありません.
 てんかん学教育委員会では,従来からてんかん学研修到達目標を定めて研修セミナーを開催してきましたが,新しい専門医制度の発足にあたり,専門医を取得するための基準となる教科書の必要性が指摘されておりました.兼子 直 前理事長からてんかん学教育委員会に要請があり,作成されたのが本書です.
 2012年,教育委員会から独立して専門医ガイドブック編集委員会が組織され,約100項目にわたる内容について,理事,評議員あるいは専門家などから分担執筆者を選定,1 年あまりの編集作業を重ねて本書は完成しました.分担執筆者の先生方にはご多忙のなか執筆していただき,また執筆方針に基づきお手直しやご調整のお手間をおかけしました.編集委員の先生方にも複数回にわたる編集会議で議論を重ね,また何度も査読をしていただき,内容の精査から重複のチェック,用語の統一に至るまで,多くの労力を費やしていただきました.編集委員長として心から感謝申し上げます.お陰様で素晴らしい内容の本になったと思います.
 近年,てんかん学は基礎から臨床まで著しく裾野を拡大し続けており,広範で膨大な知識の整理と理解が重要になってきています.本書のみで専門医試験の合格を確約できるわけではありませんが,その勉強には大いに頼りになる座右の書として,是非,有効利用していただきたいと思います.
 編集委員会では,初版を一日でも早く上梓することがもっとも大切であると考え努力を続けましたが,より最新の情報を,よりよいものをと内容を吟味するあまり,予定よりかなり遅れての発刊となってしまいました.今後もてんかん学における日進月歩の進歩についていくためには,毎年のように改訂を必要とすることが予想されます.てんかん分類や用語の改訂なども含めて,編集委員会が順次改訂を行っていってくれることを願っております.
 発刊に際しては,日本てんかん学会専門医試験委員会,分類・用語委員会などからも貴重なご提案やご意見をいただきました.心より御礼申し上げます.また,本書の出版にご協力を賜った学会関係者の皆さまや,診断と治療社の皆さんには大変なご苦労をおかけしました.感謝申し上げます.

2014年3月

『てんかん専門医ガイドブック』編集委員長

亀山茂樹



序 文(改訂第2版)

 日本てんかん学会において「てんかん専門医ガイドブック改訂第2版」を出版し,学会員をはじめてんかんにかかわる多くの方々にお届けすることは,われわれ編集委員会にとって大変な喜びであります.本学会を構成する諸分野の最新の知見を結集し,てんかん専門医にとって必要な知識をできるだけ偏らず,しかも過不足がないことを期してまとめました.2014年に出版された初版を一から作成された初代編集委員会の先生方のご苦労には遠く及ばないと推察しますが,1年余りの時間をかけて練り上げました.また新たに過去の専門医試験問題を50問厳選して解説を加えました.
 てんかん専門医試験の受験申請にあたり,提出していただく症例要約の記載において,発作型とてんかん分類はそれぞれ国際抗てんかん連盟(ILAE)の1981年と1989年の旧分類に長らく依拠してきました.てんかん学ならびに神経科学や遺伝学等のめざましい発展を受けて,てんかんの考え方や分類が劇的に変化しているにもかかわらず,旧態依然として古い分類に基づいて記載していただくことは自己矛盾を含み,心苦しい限りでした.この改訂第2版を出版することで,ようやく専門医申請にあたり最新の知見と分類に則っていただけるようになりました.時間がかかり皆様方をお待たせしましたことを深くお詫び申し上げます.
 可能な限り誤謬を排するように努めましたが,それでも完全とはいえないことを畏れます.言葉は生きものであり,科学知識も絶えず更新されています.ILAEが使用する用語も変わっていきます.出版の瞬間から既にして一部は古い情報となっていることに思いを致しております.今後のさらなる知見の集積により一層てんかん学を発展させて行く一助になることを願っております.
 末筆ではありますが,改訂第2版の編纂にあたり御原稿・意見をくださいました先生方,御著作に基づく刷新をお許しくださった初版の執筆者の先生方,並びに編集に心血を注いでくださった診断と治療社の方々に感謝し御礼申し上げます.

2020年10月

『てんかん専門医ガイドブック改訂第2版』編集委員長

小林勝弘