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小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023診断と治療社 | 書籍詳細:小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023

日本小児神経学会 監修

小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン改訂ワーキンググループ 編集

初版 B5判 並製 220頁 2023年02月14日発行

ISBN9784787825674

定価:4,180円(本体価格3,800円+税)
  

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6年ぶりの改訂版である2023年版では,小児救急医療で高頻度に遭遇するけいれん重積状態の病院前治療・初期治療から難治性病態への対応まで日本における治療選択肢等の医療事情を考慮しつつ.システマティックレビュー5項目を加え,実臨床に即してアップデート.適応外使用となる薬剤はその適切な使用を注意喚起のうえ解説し,発作時の患者に対して最善の治療が施せるよう,よりわかりやすく解説した1冊に.

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目次

発刊にあたって
序文(2023)
序文(2017)

ガイドラインサマリー
略語一覧
小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 作成組織
小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 作成過程
小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 公開後の取り組み

第1章▶総論
1 小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023の目的,治療および利用対象
2 てんかん重積状態の定義
3 てんかん重積状態の症候分類
4 疫学(epidemiology)
5 病態(pathophysiology)
6 治療(treatment)

第2章▶各論
CQ1 発作が遷延する場合の早期治療にはどのようなものがあるか
CQ2 医療機関受診時にけいれん性発作が続いている場合,最初に試みるべき治療は何か
CQ2-1 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ロラゼパム静脈投与はジアゼパム静脈投与よりも推奨されるか
CQ2-2 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ジアゼパム静脈投与はミダゾラム静脈投与よりも推奨されるか
CQ2-3 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ミダゾラム静脈投与はロラゼパム静脈投与よりも推奨されるか
CQ3 けいれん性てんかん重積状態の小児に対して,静脈ルートがとれなかった場合,どのような対処があるか
CQ3-1 けいれん性てんかん重積状態の小児に対して,ミダゾラム頬粘膜投与は,ジアゼパム静脈投与よりも推奨されるか
CQ3-2 けいれん性てんかん重積状態の小児に対して静脈ルートが確保できない場合において,ミダゾラム頬粘膜投与は,ジアゼパム直腸内投与よりも推奨されるか
CQ4 発作を起こした小児で,入院(入院可能な病院への搬送)の適応はどう判断するか
CQ5 ベンゾジアゼピン系薬剤の静脈投与で発作が停止した場合,発作再発予防のための薬剤追加は有効か
CQ6-1 ベンゾジアゼピン系薬剤の静脈投与で発作が停止しない場合,次の選択肢は何があるか
CQ6-2 てんかん重積状態に対してレベチラセタム静脈投与とラコサミド静脈投与は有効か
CQ7 非けいれん性てんかん重積状態を治療すると,しない場合に比べて転帰は改善するか
CQ8 てんかん重積状態において,ICU入院を考慮する目安は何か
CQ9 難治性てんかん重積状態に対して昏睡療法は有用か
CQ10 超難治性てんかん重積状態に対する介入は何があるか
CQ11 難治性てんかん重積状態に脳低温療法は有効か
CQ12 てんかん重積状態に対して,どのような検査が必要か
CQ13-1 てんかん重積状態の初期治療後において,持続脳波モニタリングは有用か
CQ13-2 てんかん重積状態の初期治療後において,amplitude-integrated EEGは有用か
CQ14 てんかん重積状態に対して緊急画像検査(CT,MRI)は必要か
CQ15 てんかん重積状態の転帰不良因子には何があるか

付録▶システマティックレビュー・外部評価

資料CQ2-1 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ロラゼパム静脈投与はジアゼパム静脈投与よりも推奨されるか
資料CQ2-2 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ジアゼパム静脈投与はミダゾラム静脈投与よりも推奨されるか
資料CQ2-3 けいれん性てんかん重積状態の小児に対する初期治療として,ミダゾラム静脈投与はロラゼパム静脈投与よりも推奨されるか
資料CQ3-1 けいれん性てんかん重積状態の小児に対して,ミダゾラム頬粘膜投与は,ジアゼパム静脈投与よりも推奨されるか
資料CQ3-2 けいれん性てんかん重積状態の小児に対して静脈ルートが確保できない場合において,ミダゾラム頬粘膜投与は,ジアゼパム直腸内投与よりも推奨されるか

外部評価
外部評価まとめ
外部評価返答リスト

索引

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序文

発刊にあたって

日本小児神経学会は小児神経疾患の診療標準化を目指しており,2011年にガイドライン統括委員会を発足させました.本学会ではこれまでに「熱性けいれん診療ガイドライン2015」,「小児急性脳症診療ガイドライン2016」および「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」を発刊しました.このたび,「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」を改訂し,「小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023」を策定しました.本ガイドラインは,日本小児神経学会「小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン改訂ワーキンググループ」によって原案が作成され,本学会評価委員ならびに評議員による内部評価,関連学会と患者団体による外部評価,さらにMindsによるAGREE II評価を経て発刊に至りました.本ガイドライン策定にご尽力されました本ガイドライン改訂ワーキンググループ委員ならびにご協力いただきました関連学会,患者団体の皆様,小児神経学会員の皆様には,心より感謝申し上げます.

てんかん重積状態・けいれん重積状態(以下,てんかん重積状態)は緊急度の高い急性疾患であり,小児科医や救急医のみならず内科医や総合診療医,研修医など多くの診療科の医師がその対応にあたります.小児のてんかん重積状態は,細菌性髄膜炎や急性脳炎,急性脳症,頭部外傷,その他の重大な急性中枢神経疾患の初期症状である場合があり,初期治療ならびに原疾患の診断は極めて重要です.てんかん重積状態治療に関する質の高いエビデンスは少なく,特に小児を対象にしたものは極めて乏しいのが実情です.さらに「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」策定の時点では,海外においては使われているにもかかわらず,わが国においては保険適用のない重要な薬剤があったため,海外のガイドラインとは異なる部分がありました.その後,2018年9月にロラゼパム注射液,2020年にミダゾラム口腔用液がわが国において保険適用となり,使用できる薬剤は海外に漸く並んだといえます.本ガイドラインでは,これらの薬剤を含めた初期治療について詳しく述べています.特に病院前治療として使用されるミダゾラム口腔用液の有用性ならびに病院到着時の初期治療として使用されるジアゼパムとミダゾラム,ロラゼパムの注射液の有用性を,システマティックレビューを行い,推奨を決定しました.
「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」においては,けいれん性てんかん重積状態を対象としていました.本ガイドラインもおもな対象は同様ですが,非けいれん性てんかん重積状態も日常診療で経験することがあり重要であるため,非けいれん性てんかん重積状態についても記述しています.

本ガイドラインで示された治療選択は画一的なものではなく,推奨は参考にすぎません.実際の治療にあたる場合,病院機能や医療環境がそれぞれ異なっていますので,治療方針の決定は,主治医の総合的判断に基づいて行われるべきであることはいうまでもありません.てんかん重積状態の治療には,適応外使用として使われている薬剤がいくつかあります.本ガイドラインでも,適応外使用薬もその旨を明記したうえで紹介しています.これらの薬剤の使用には,施設ごとに倫理的配慮を含めてご検討いただきたいと思います.さらに重要な点として,本ガイドラインは医療の質の評価,医事紛争や医療訴訟などの判断基準を示すものではないため,医療裁判に本ガイドラインを用いることは認めていません.
本ガイドラインが,小児救急を担当する本学会員や小児科医,総合診療医他の皆様にとって,役立つものであることを願っています.本ガイドラインをご活用いただき,皆様からのフィードバックをいただくことにより,今後の改訂に役立てて参りたいと思います.

2022年11月

日本小児神経学会
理事長  加藤 光広
ガイドライン統括委員会担当理事  前垣 義弘
ガイドライン統括委員会前委員長  福田冬季子
ガイドライン統括委員会委員長  柏木  充



序文(2023)

小児では,てんかん重積状態に遭遇する機会は稀ではなく,診療にあたる医療者は適切かつ迅速な対応が求められます.発作は,長く続けば続くほど,自然に停止する可能性が低くなり,さらに神経学的転帰も不良となる可能性があることが分かっています.近年では発作が自然消失する時間 (t1時間)と神経学的な長期的影響が残る可能性のある時間(t2時間)という新しい定義が提唱され,以前よりも早期治療の重要性が明確となりました.
わが国では,小児てんかん重積状態に対する治療指針として,2005年に「小児のけいれん重積状態の診断・治療ガイドライン(案)−よりよい治療法を求めて−」(小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究」〈主任研究者:大澤真木子〉)が作成され,その内容は国内外における薬理学的知見と臨床報告に基づいています.その後,静注用フェノバルビタール,ホスフェニトイン注射液,ミダゾラム注射液(ミダフレッサ®)がわが国でもてんかん重積状態に対する保険適用が認められ,治療選択肢が増えました.このような社会情勢の変化を受け,本学会より2017年6月に「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」(委員長:林 北見)が発刊されました.その後もロラゼパム注射液,非静注製剤としてミダゾラム口腔用液がてんかん重積状態に対して使用できるようになりました.
ロラゼパムは海外ではすでに第一選択薬として推奨されている薬剤であり,ミダゾラム口腔用液は病院前治療および静脈ルートが確保できない場合の第一選択薬となり得る薬剤です.これら薬剤はてんかん重積状態の早期治療においてその有用性が期待されます.一方で,これらはいずれも初期治療薬であるため,その薬剤選択や使い分けなどについて臨床現場では高い関心があります.このような医療を取り巻く新たな社会情勢の変化に対応するため,2018年5月に「小児けいれん重積治療ガイドライン改訂ワーキンググループ」が設置されました.
改訂ワーキンググループでは,次の3つの項目を重要臨床課題として改訂の主軸と考えました.一つめはミダゾラム口腔用液による病院前治療について,二つめは第一選択薬である3種類のベンゾジアゼピン系薬剤選択について,三つめは非けいれん性てんかん重積状態に対する病態について,です.それぞれに対応するclinical question(CQ)をお読みいただき,日々の診療に少しでもお役に立てれば幸いです.また,正しい用語の使用と普及を念頭に,本ガイドラインの名称も『小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン』に変更しました.診療/治療ガイドラインは,発刊後も数年ごとに新しいエビデンスを取り入れながら改訂を継続していくものであります.もしかしたら将来的にこのガイドラインの内容が臨床現場や病態生理の観点にそぐわない部分も出てくるかもしれません.時代や医療事情の変化に対して柔軟に対応しながら,本ガイドラインがよりよいものに成長し続けてくれることを心から願います.
本ガイドライン発刊に際して,実に多くの方々にご支援いただきました.改訂ワーキンググループの先生方には,新型コロナウイルス感染症流行により一躍主流となったオンラインシステムを利用した長時間におよぶ度重なる会議,手探りで取り組み膨大な時間を費やしたシステマティックレビューなど,多大なるご尽力をいただきました.まさにその結晶として改訂作業を無事に終了することができました.また,パネル会議にご出席いただいた外部委員,外部評価やパブリックコメントにご意見をお寄せいただいた先生,ガイドライン作成に関する学術集会セミナー等で公私にわたり貴重なご意見をお寄せいただいた先生,本学会ガイドライン統括委員会および本学会事務局,細部にわたる原稿修正にも丁寧にご対応いただきました診断と治療社の担当者,それ以外の多くの先生方に心より感謝し,この場をお借りして御礼申し上げます.

2022年11月

日本小児神経学会
小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン
改訂ワーキンググループ委員長  菊池健二郎



序文(2017)

2014年3月に「小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ」が設置され,策定にとりかかりました.2016年5月の日本小児神経学会総会において骨格を呈示した後,推敲を重ね,このたび発刊にいたりました.この間に貴重なご意見を多く頂きましたこと,この場を借りまして心より感謝申し上げます.

担当委員の原案をとりまとめる過程で,改めて強く感じたことがあります.一つは,日常的に行っている診療行為の裏付けが確かなものであるのか,ということです.一例をあげると,日本のジアゼパム静注の用量は0.3~0.5mg/kgとしていることが多いのですが,海外のガイドラインでは0.2~0.3mg/kgであることが多く,日本での用量が多めであることが判りました.薬剤添付文書では小児用量に記載はありませんので,われわれの先輩方が検討した結果であろうと思われますが,世界共通の第一選択肢でありながら,用量にこれだけの幅がある理由は不明です.国ごとの治療成績に大きな差があるとは思えませんので,至適用量はどこにあるのでしょうか.本ガイドラインでは日本での用量を採用しておりますが,今後の検討課題です.
もう一つは,この領域でのエビデンスレベルの高い研究の少ないこと,あるいは質の高い研究を実施することの難しさです.救急医療現場の事情を考えれば,当然予想できることではありますが,諸外国においても似たような状況です.本ガイドラインでも多く参考としたBrophyのガイドラインに触れて,Shorvon〔Shorvon S. Guidelines for status epilepticus: are we there yet ? Neurocritical Care 2012; 17:1-2.〕は多くの重積治療ガイドラインに共通する課題として,十分な“controlled data”が不足するなかで推奨を策定せざるを得ない点を指摘しています.とはいえ,このような実情に甘えることなく,少しでも質の高いエビデンスを得るために,私たちにできることが何かあるのではないか,議論する余地はあるように思います.本ガイドラインを一つの通過点として,そのような機運が生まれることを期待しております.
ガイドライン最終稿を作成するうえで,関連諸学会と日本てんかん協会にご評価いただき,多くの問題点をご指摘いただきました.可能な限りお応えできるように検討を行いましたが,基本骨格が決まっているなかで,十分に反映できなかった点もございます.今後,新たな知見が加わるなかで,より実臨床に即した有用なガイドラインに成長できるよう,将来の改訂に向けた作業を進めたいと考えております.

2017年5月
日本小児神経学会
小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ委員長
林 北見