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書籍詳細

てんかん治療に携わるすべての人のための
抗てんかん薬の使い方診断と治療社 | 書籍詳細:抗てんかん薬の使い方

田崎病院副院長・東京医科歯科大学 名誉教授

松浦 雅人(まつうら まさと) 編著

田崎病院薬剤室 編集協力

嬉野が丘サマリヤ人病院薬剤室 編集協力

初版 B5判 並製 176頁 2021年05月20日発行

ISBN9784787824837

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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いわゆる新規抗てんかん薬の発売以来,てんかん治療の現場では薬物選択の幅が広がり,また注射液や口腔用液の発売など様々な選択肢が広がっている.半面,どれを選んだらよいのかわからない,という声も聞かれる.本書では学会によるてんかんの診療ガイドラインに基づいて,てんかん薬を用いる際の基本的な知識と考え方を簡潔に紹介した.小児,高齢者,妊娠可能女性などに求められる薬剤選択も一般医が必要とする内容を解説した.

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目次

はじめに
本書で参考にしたガイドライン
執筆者一覧
抗てんかん薬の略語(ABC順)

第1章 抗てんかん薬選択の基本
1 抗てんかん薬治療の原則
2 焦点てんかんと全般てんかんの薬剤選択
3 小児てんかん症候群の薬剤選択
4 妊娠可能年齢女性の薬剤選択
5 高齢者の薬剤選択
6 てんかん重積状態の薬剤選択
7 身体合併症例の薬剤選択
8 精神疾患のリスクをもつ例の薬剤選択
9 てんかん以外の疾患で抗てんかん薬を使うとき
10 抗てんかん薬の副作用
11 抗てんかん薬の相互作用
12 抗てんかん薬の血中濃度測定
13 けいれんを生じる薬物

第2章 クリニカルクエスチョン(CQ&A)
Q1 てんかん診療はガイドラインに従って行うべきか?
Q2 オフラベル(適応外処方)を行うときの注意点は?
Q3 初回発作でも治療を開始する場合は?
Q4 新規抗てんかん薬を優先して使用するか?
Q5 後発医薬品(ジェネリック)を優先して用いるか?
Q6 ジェネリック医薬品に変更して副作用が出たときの責任は?
Q7 添付文書に運転禁止の記載のある抗てんかん薬を使うときの注意点は?
Q8 抗てんかん作用に耐性は生じるか?
Q9 薬物治療を行わないてんかんはあるか?
Q10 治療を終える時期は?
Q11 てんかんに効く漢方薬はあるか?
Q12 抗てんかん薬が発作を増悪させることはあるか?
Q13 てんかんのある人に抗ヒスタミン薬を使うときの注意点は?
Q14 熱性けいれんの同じ発熱機会内の再発予防に解熱剤と抗てんかん薬のどちらを使用する?
Q15 熱性けいれん既往児の再発予防に解熱剤と抗てんかん薬のどちらを使用する?
Q16 軽症胃腸炎に伴うけいれんに使用する治療薬は?
Q17 抗てんかん薬に影響を与える食材はある?
Q18 抗てんかん薬は食後に服用すべきか?
Q19 薬を飲み忘れ(飲みすぎ)たときの対処法は?
Q20 服薬後に嘔吐してしまったときの対処法は?
Q21 睡眠関連てんかんは薬を就寝前に服用する?
Q22 抗てんかん薬を減量するときの注意点は?
Q23 多剤併用の薬剤を整理する手順は?
Q24 難治てんかんの治療のゴールは?
Q25 抗てんかん薬を増量するときの注意点は?
Q26 坐薬を使うときの注意点は?
Q27 錠剤やカプセルが飲めないときは?
Q28 投与日数制限のある抗てんかん薬は?
Q29 急性身体疾患に罹患したときの服薬法は?
Q30 脳波検査の睡眠賦活に用いる薬剤は?

第3章 抗てんかん薬 各論
1 焦点てんかんに用いる薬剤
 1 フェニトイン(PHT)
 2 カルバマゼピン(CBZ)
 3 ガバペンチン(GBP)
 4 ラコサミド(LCM)
2 焦点てんかんおよび全般てんかんに用いる薬剤
 1 フェノバルビタール(PB)プリミドン(PRM)
 2 バルプロ酸(VPA)
 3 ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬 クロナゼパム(CZP)クロバザム(CLB)ニトラゼパム(NZP)
 4 ゾニサミド(ZNS)
 5 トピラマート(TPM)
 6 ラモトリギン(LTG)
 7 レベチラセタム(LEV)
 8 ペランパネル(PER)
3 小児てんかん症候群に用いる薬剤
 1 エトスクシミド(ESM)
 2 臭化カリウム(KBr)
 3 脱炭酸酵素阻害薬 スルチアム(STM)アセタゾラミド(AZM)
 4 希少疾病用医薬品 スチリペントール(STP)エベロリムス(EVL)ルフィナミド(RFN)ビガバトリン(VGB)
 5 口腔内投与される薬剤ミダゾラム口腔用液(MDL)
4 静脈内投与される薬剤
 1 ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬 ジアゼパム注射液(DZP)ロラゼパム注射液(LZP) ミダゾラム0.1%注射液(MDL)
 2 ホスフェニトインナトリウム注射液(fos PHT)フェニトインナトリウム注射液(PHT-Na)
 3 フェノバルビタールナトリウム注射液(PB-Na)フェノバルビタール注射液(PB)
 4 レベチラセタム注射液(LEV)
 5 ラコサミド注射液(LCM)
 6 てんかん重積に用いる全身麻酔薬 注射用チオペンタールナトリウム 注射用チアミラールナトリウム プロポフォール注射剤
5 坐薬として使用される抗てんかん薬
 1 抱水クロラール坐剤(ChH)
 2 フェノバルビタールナトリウム坐剤(PB-Na)
 3 ジアゼパム坐剤(DZP)

コラム
1 てんかん発作の国際分類
2 てんかんの国際分類
3 理想的な抗てんかん薬とは?
4 難病および小児慢性特定疾病への医療費助成制度
5 ケトン食療法が奏効するてんかん
6 ベンゾジアゼピンによるてんかん治療のはじまり
7 イエローレターとブルーレター
8 医薬品副作用被害救済措置が適用されない場合
9 医師は医薬品添付文書を参照して情報を収集しなければならない
10 添付文書の記載要領の変更
11 熱性けいれんはてんかんに移行する?
12 銀杏とけいれん
13 後発医薬品(ジェネリック)とは?
14 医師と患者・家族で抗てんかん薬への期待が異なる
15 オーファンドラッグとは?
16 医薬品リスク管理計画と新薬市販後調査
17 薬の命名と取り違え処方
18 公知申請とは?
19 バルプロ酸(VPA)曝露児のリスク研究
20 ベンゾジアゼピン系薬剤の多剤併用・長期投与の制限
21 ベンゾジアゼピンの発見は偶然の産物(セレンディピティ)
22 薬価の決まり方
23 オーソライズド・ジェネリック(AG)とは?
24 薬機法改正について
25 てんかんの通院公費負担制度
26 日本の抗てんかん薬発売のタイムラグ

巻末付録
1 日本で使用できる抗てんかん薬(発売順)
2 経口抗てんかん薬の適応,用量,用法
3 非経口抗てんかん薬の適応,用量,用法
4 抗てんかん薬の作用機序
5 経口抗てんかん薬の代謝経路,酵素誘導・阻害,腎/肝障害例の用量調整
6 抗てんかん薬の薬物動態
7 抗てんかん薬の血中濃度モニタリング
8 抗てんかん薬の妊婦,産婦,授乳婦への投与

索 引

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序文

はじめに

抗てんかん薬の選択基準は,焦点発作であればCBZ,全般発作であればVPAという原則が,長い期間にわたって続いた.しかし,2006年のGBP発売を皮切りに,TPM,LTG,LEV,PER,LCMと,いわゆる新規抗てんかん薬が相次いで発売された.そして,てんかん診療ガイドラインでは焦点てんかんの第1選択薬にCBZ,LTG,LEV,ZNS,TPMと5つの薬物が推奨され,どれを選んだらよいかわからないという声を聞く.全般てんかんについては,第1選択薬がVPAであることに変わりないが,VPAは妊娠可能年齢女性には原則禁忌となったため,女性に対しては第2選択薬の8つの薬(LTG,LEV,TPM,ZNS,CLB,PB,PHT,PER)からどれを使ったらよいか判断に迷うことが少なくない.抗てんかん薬治療は新しい時代に入り,これまで以上に薬剤に関する知識が求められる時代となった.
てんかん診療に用いられる注射薬についても大きな変化がみられた.2008年にPB-Naが発売されて以降,fosPHT,MDL,LEV,LCM,LZPと次々に注射液が発売された.かつてはPHT注射液を心循環機能をモニターしながら細心の注意を払ってゆっくりと静注したが,より速くより安全に使用できる注射液が増え,選択肢が広がった.2020年にはMDL口腔用液も発売された.
また,2012年にDravet(ドラベ)症候群に対してSTPが発売されて以降,結節性硬化症にEVL,Lennox-Gastaut(レノックス・ガストー)症候群にRFN,点頭てんかんにVGBと,難治の発作をもついわゆる希少疾患(指定難病)に対する治療薬が相次いで発売された.主に小児神経専門医が使用しているが,小児から成人への移行医療にあたって,一般医もこれらの薬物の知識が必要となる.
最近はてんかん診療ガイドラインが多く公表されており,医師はガイドラインの内容を踏まえた上で医療行為を行う必要がある.本書は主に日本てんかん学会と日本神経学会が作成した最新のガイドラインを参考に記述した.抗てんかん薬は,焦点発作あるいは全般発作に限って承認されたもの,あるいは併用療法に限って承認されたものなどがある.しかし,各種ガイドラインには,このような適応を超えて使用を推奨しているものが少なくなく,本書では適応外(オフラベル)使用であることを明示した.このような適応外処方はガイドラインに沿った合理的理由があること,患者家族に対して十分に説明し,十分な観察を行う必要があることを強調した.
医師は医薬品添付文書を参照して最新情報を収集しなければならない.1996年の有名なペルカミンSショック事例で最高裁判決でも,「添付文書に記載された使用上の注意に従わなかったことにつき,特段の合理的理由がない限り過失が認定される」とされた.また,2002年の向精神薬の副作用事例に関して「医師は最新の添付文書を確認し,必要に応じてその文献を参照するなど,可能な限り最新情報を収集する義務がある」とされた.本書でも薬剤の最新情報を提供するように努めたが,医薬品情報は日々更新されており,医師は折にふれて添付文書に目を通すことを勧めたい.

2021年5月
松浦雅人