薬疹の上手な診かた・対応ガイド
定価:6,270円(税込)
在宅医療は病院,診療所で行われる外来・入院業務を離れ,患者の生活の場で行われる医療です.そこでは,「治す医療」より,「支える医療」の重要性が叫ばれています.
皮膚科学は人体の最大臓器である皮膚を対象に,形態学を出発点として発展してきました.皮膚は身体の内側と外側を隔てる役割をしており,その境界では,免疫,代謝,恒常性の維持,様々な反応が進行しています.皮膚で起こっている反応が,そのまま皮膚に現象として現れます.すなわち,当事者にも周囲の人間にも,皮膚の情報がほぼリアルタイムに,そして公平に行き渡ります.
在宅の場での皮膚のトラブルといえば,痛み,痒みなど本人の感覚的な症状に端を発し,かさかさ,赤み,ブツブツ,あるいはできもの,傷など客観的な症状を周囲の人間が共有する,という経過を辿ることが多いでしょう.あるいは,本人の認知機能が低下しており,目に見える症状だけがひとり歩きしているかもしれません.
皮膚症状は目に見えますので,変わらない=治らない,どんどん悪くなる,などが一目瞭然です.症状だけが未知なるモノとして存在すると,当事者も周囲の人間も不安になっていきます.本書の狙いは,形態学的なアプローチから,何が起こっているか,原因はあるのか,マネジメントはどうするのか,在宅医療の現場である程度,具体的な方針を立てられるようにすることです.
「非皮膚科医に捧ぐ」というキャッチコピーは,在宅医療にかかわる様々な職種のため,という思いを込めています.色々な立場の方が本書を手にして,在宅医療の現場で皮膚のトラブル対策の支えに役立てていただければ,これに勝る喜びはありません.
最後になりましたが,各項目の執筆を快諾してくださった先生方に,心より御礼申し上げます.
2026年2月
醍醐の麓にて
編者しるす
序文
編集者・執筆者一覧
編集者紹介
第1章 在宅で診る皮膚疾患をおさえよう!
1 在宅で診る皮膚疾患の特徴 小川純己
2 皮膚科医が在宅医療を行うとき 小川純己
第2章 部位別に診る在宅での皮膚疾患
1 顔面
2 頭部
3 臀部・股部
4 四肢
5 手足,爪
6 躯幹
7 全身
第3章 皮膚科医の思考パターン
1 暗黙知から形式知へ 小川純己
2 部位別・経過からの鑑別 小川純己
3 症状別の鑑別疾患 小川純己
第4章 在宅における診療に役立つスキルとツール
1 皮膚の機能と構造 小川純己
2 在宅におけるスキントラブル 松本のどか
3 在宅におけるスキンケア・処置の基本 須藤 翔
4 在宅における褥瘡の予防と治療 須藤 翔
コラム 創傷・潰瘍・疥癬の病態と治癒のメカニズム 須藤 翔
5 在宅における痒みのケア 小川純己
6 在宅におけるフットケア 小川純己
7 在宅における外科的処置 中捨克輝
8 そのほか,在宅において知っておくべきこと 松本のどか
第5章 疾患別のアプローチ
1 湿疹/皮膚瘙痒症 齋藤 京
2 皮膚潰瘍 小川純己
3 真菌症 佐藤友隆
コラム 白癬とカンジダの区別 佐藤友隆
4 爪,胼胝 中捨克輝
コラム 巻き爪と陥入爪と爪甲鉤彎症の違い 中捨克輝
5 疥癬 浅井俊弥
6 細菌性皮膚感染症 小林誠一郎
7 ウイルス性疾患 小川純己
コラム ヘルペスという病気 小川純己
8 水疱症 小林誠一郎
9 新生物 小川純己
10 薬疹,接触皮膚炎 横山知明
コラム 皮膚科医が薬疹を振られたときに考慮すること 益田浩司
第6章 他職種との連携
1 メール連絡 小川純己
2 汎用サービスを用いたオンライン診療 浅井俊弥
索引