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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 No.12 自己抗体から紐解く小児疾患

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掲載論文

序 文  /金兼弘和

Ⅰ.総論:自己抗体と自己免疫疾患
自己免疫疾患の概念  /清水正樹
自己免疫疾患の発症機序  /宮前多佳子
様々な自己抗体  /赤峰敬治
自己免疫疾患に対する治療戦略  /井上祐三朗

Ⅱ.各論:自己抗体がかかわる疾患
全身性エリテマトーデス  /岩田直美
若年性特発性炎症性筋疾患  /野澤 智
ネフローゼ症候群  /白井陽子・他
1型糖尿病  /高澤 啓
甲状腺疾患  /長崎啓祐
血小板減少性紫斑病  /森 麻希子
自己免疫性好中球減少症  /宮澤英恵・他
Guillain-Barre症候群  /藤井克則
抗NMDA受容体脳炎  /高橋幸利・他
抗MOG抗体関連疾患  /吉良龍太郎・他
先天性免疫異常症  /星野顕宏
COVID-19と自己抗体  /浅野孝基

小児科診療/第88巻(2025年)総目次

ねらい

金兼弘和  /東京科学大学大学院小児地域成育医療学講座

 われわれの身体には,細菌やウイルスなどの微生物や異物が身体の中に侵入してくると(これら侵入物を抗原という),抗原と戦う物質(これを抗体という)を作って抗原を排除する働きがあり,これを免疫機構という.この抗体は通常なら,異物を認識するだけであり自分の身体を攻撃することはないが,何らかの原因で異常が起こると,自分の細胞成分に対して抗体を作り(これを自己抗体という),自分の身体を攻撃してしまうことがある.このような病態を自己免疫疾患とよぶ.自己免疫疾患は成人,特に成人女性に多くみられるが,小児でも様々な自己免疫疾患がみとめられ,身近な疾患もある.
 自己免疫疾患というと何となく難しそうなイメージがあるかもしれないが,まずは自己抗体について知るべく総論として自己免疫疾患の概念,発症機序,治療戦略ならびに様々な自己抗体について解説する.この総論を読むことで自己免疫疾患の理解が進むことを期待する.
 各論として比較的小児でみられる自己抗体がかかわる疾患について解説する.代表的疾患だけでもリウマチ・膠原病(全身性エリテマトーデス,特発性炎症性筋疾患),腎疾患(ネフローゼ症候群),内分泌疾患(1型糖尿病,甲状腺疾患),血液疾患(免疫性血小板減少性紫斑病,自己免疫性好中球減少症),神経疾患(Guillain-Barre症候群,抗NMDA受容体脳炎,抗MOG抗体関連疾患)など様々な分野でみとめられる.先天性免疫異常症は免疫にかかわる遺伝子の異常によって易感染性のみならず,自己免疫疾患を発症することがある.先天性免疫異常症のなかには様々な自己抗体を産生することを特徴とする疾患があり,また後天的な抗体産生によって先天性免疫異常症とよく似た病態をとるものもある.さらには数年前に世界中でパンデミックをきたしたCOVID-19に対する国際共同研究から,COVID-19の重症化にⅠ型インターフェロンに対する自己抗体がかかわることも明らかになった.本特集ではすべてを述べられていないが,様々な自己抗体が先天性免疫異常症を模倣する病態を形成していることがわかってきており,最近のトピックでもある.
 本特集では自己抗体が関与する様々な小児疾患を取り上げた.本特集を一読することによって,自己抗体がかかわる小児疾患の病態を紐解くきっかけになれば幸いである.
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