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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 No.6 小児の出血・凝固異常の診断と治療
- 定価:
- 3,300円(本体価格 3,000円+税)
- 在庫:
- 在庫あり
バックナンバー
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掲載論文
序 文 加藤元博
Ⅰ.止血・凝固の病態と検査
止血・凝固の生理的機能 /長江千愛
出血・凝固異常の鑑別 /宮村能子
凝固機能検査 /西川真子
血小板機能検査 /加藤 恒
Ⅱ.症例で学ぶ凝固異常症
血友病 /小倉妙美
凝固因子欠乏症(血友病以外) /長尾 梓
von Willebrand病 /日笠 聡
フィブリノゲン異常症 /新井慎平
血小板機能異常症 /三谷友一
先天性抗凝固因子欠乏症・抗凝固因子抵抗性 /石村匡崇
抗リン脂質抗体症候群 /毛利万里子
ヘパリン起因性血小板減少症 /安本篤史
血栓性血小板減少性紫斑病 /本田 護
ビタミンK欠乏症
~乳児ビタミンK欠乏性出血症“ゼロ”を目指して~ /根本 篤
Ⅲ.出血・凝固に関連する新たな治療
抗凝固薬 /金 基成
血友病治療薬 /荻原建一
症例報告
新規超速効型インスリンの食後皮下注射が血糖管理に有効であった
1型糖尿病の1例 /秋山めぐみ・他
Ⅰ.止血・凝固の病態と検査
止血・凝固の生理的機能 /長江千愛
出血・凝固異常の鑑別 /宮村能子
凝固機能検査 /西川真子
血小板機能検査 /加藤 恒
Ⅱ.症例で学ぶ凝固異常症
血友病 /小倉妙美
凝固因子欠乏症(血友病以外) /長尾 梓
von Willebrand病 /日笠 聡
フィブリノゲン異常症 /新井慎平
血小板機能異常症 /三谷友一
先天性抗凝固因子欠乏症・抗凝固因子抵抗性 /石村匡崇
抗リン脂質抗体症候群 /毛利万里子
ヘパリン起因性血小板減少症 /安本篤史
血栓性血小板減少性紫斑病 /本田 護
ビタミンK欠乏症
~乳児ビタミンK欠乏性出血症“ゼロ”を目指して~ /根本 篤
Ⅲ.出血・凝固に関連する新たな治療
抗凝固薬 /金 基成
血友病治療薬 /荻原建一
症例報告
新規超速効型インスリンの食後皮下注射が血糖管理に有効であった
1型糖尿病の1例 /秋山めぐみ・他
ねらい
加藤元博 /東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻小児医学講座
私たちの体をめぐる血液は,必要に応じて「固まること」と「固まらないこと」の両方が求められるという,相反する重要な役割を担っています.血管が損傷したときには迅速に止血し,逆に不要な血栓は作らず,血流を保つことが必要です.この血液の凝固・線溶は様々な因子によって制御されており,この精緻なバランスが崩れたとき,出血傾向や血栓傾向といった様々な病態が現れます.
小児においては様々な出血・凝固異常があります.しかし,多くの疾患はまれであり,その希少性ゆえにほとんどの小児科医が日常的に直面することは多くありません.また,これらの出血・凝固異常に関連する検査は,その複雑さから苦手意識をもたれることも多いです.しかし,診療の現場では,「ちょっとした検査異常」や「出血・凝固異常が疑われる症状」に遭遇する機会はしばしばあり,これらの適切な解釈や鑑別に困ることがしばしばあります.
出血・凝固異常は,遺伝性の疾患も多く,家族歴の丁寧な聴取も必要です.ただし,必ずしも新生児期から症状が出現するとは限らず,乳児期,幼児期,小児期といった幅広い年齢層にわたってみられます.その一方で,月齢・年齢ごとに凝固検査の基準範囲は異なるため,結果の解釈にも注意が必要です.そのため,病態を正確に把握し,必要に応じて適切な検査を行い,診断に結びつける力が求められます.また,小児が罹患する様々な全身疾患に,出血・凝固異常が併発することも多く,適切な管理が必要な場面も多く経験します.
病態に即した治療を行うためには,正確な診断が不可欠です.誤った診断に基づく治療は,かえって悪影響を及ぼす可能性もあります.一方で,これらの疾患に関する具体的な臨床経験が少ないことから,理論的には理解していても,実際の検査所見や経過をどのように捉えるべきか,実感としてつかみにくいという声もよく聞かれます.特に初学者や若手医師にとっては,異常値の意味づけや次に何をすべきかについて不安を感じる場面もあるでしょう.
本特集では,総論として凝固と線溶の生理に関する基本的な知識と,凝固に関連する検査の方法とその解釈について解説をしていただきます.後半の各論では,出血性疾患・凝固異常症の疾患ごとの病態,診断,そして治療方法に焦点をあてます.特に疾患ごとの各論では,具体的な患者を想定した症状と検査結果を示し,臨床での理解を助けるように構成しています.
本特集が,小児医療に携わる現場の医師の出血・凝固異常に対する理解を深め,不安を解消し,自信をもって診療に臨むための一助となれば幸いです.
私たちの体をめぐる血液は,必要に応じて「固まること」と「固まらないこと」の両方が求められるという,相反する重要な役割を担っています.血管が損傷したときには迅速に止血し,逆に不要な血栓は作らず,血流を保つことが必要です.この血液の凝固・線溶は様々な因子によって制御されており,この精緻なバランスが崩れたとき,出血傾向や血栓傾向といった様々な病態が現れます.
小児においては様々な出血・凝固異常があります.しかし,多くの疾患はまれであり,その希少性ゆえにほとんどの小児科医が日常的に直面することは多くありません.また,これらの出血・凝固異常に関連する検査は,その複雑さから苦手意識をもたれることも多いです.しかし,診療の現場では,「ちょっとした検査異常」や「出血・凝固異常が疑われる症状」に遭遇する機会はしばしばあり,これらの適切な解釈や鑑別に困ることがしばしばあります.
出血・凝固異常は,遺伝性の疾患も多く,家族歴の丁寧な聴取も必要です.ただし,必ずしも新生児期から症状が出現するとは限らず,乳児期,幼児期,小児期といった幅広い年齢層にわたってみられます.その一方で,月齢・年齢ごとに凝固検査の基準範囲は異なるため,結果の解釈にも注意が必要です.そのため,病態を正確に把握し,必要に応じて適切な検査を行い,診断に結びつける力が求められます.また,小児が罹患する様々な全身疾患に,出血・凝固異常が併発することも多く,適切な管理が必要な場面も多く経験します.
病態に即した治療を行うためには,正確な診断が不可欠です.誤った診断に基づく治療は,かえって悪影響を及ぼす可能性もあります.一方で,これらの疾患に関する具体的な臨床経験が少ないことから,理論的には理解していても,実際の検査所見や経過をどのように捉えるべきか,実感としてつかみにくいという声もよく聞かれます.特に初学者や若手医師にとっては,異常値の意味づけや次に何をすべきかについて不安を感じる場面もあるでしょう.
本特集では,総論として凝固と線溶の生理に関する基本的な知識と,凝固に関連する検査の方法とその解釈について解説をしていただきます.後半の各論では,出血性疾患・凝固異常症の疾患ごとの病態,診断,そして治療方法に焦点をあてます.特に疾患ごとの各論では,具体的な患者を想定した症状と検査結果を示し,臨床での理解を助けるように構成しています.
本特集が,小児医療に携わる現場の医師の出血・凝固異常に対する理解を深め,不安を解消し,自信をもって診療に臨むための一助となれば幸いです.