株式会社 診断と治療社

診断力を高めるケーススタディ48 心電図完全読解BOOK 【3月26日発売予定】

健診後に回ってきた患者の心電図——手元にあるのは健診結果とこの心電図のみ.こうした場面を含む,さまざまな臨床シチュエーションを題材に,全48症例を通して診断力を養うケーススタディ集.ファーストインプレッションから「ここに注目!」の重要所見,鑑別の組み立て方,最終診断に至る思考プロセス,さらには「その後の経過・治療」までを段階的に解説.疾患の背景知識も整理でき,心電図を“読める”から“診断できる”へと導く一冊.
定価:
4,620円(本体価格 4,200円+税)
発行日:
2026/03/26
ISBN:
9784787827647
頁:
276頁
判型:
A5
製本:
並製
在庫:
在庫無し

序文

推薦の言葉

心電図診断には100年以上の歴史があります.簡便で低侵襲でありながら循環器領域に限らず,多くの臨床現場で求められる基本的かつ重要な技術です.近年,人工知能(AI)による自動診断技術の進歩は目覚ましく,診療の効率化や標準化に大きく貢献しています.しかし,その一方で,AIの出す診断結果に過度に依存することで,誤った判断に至るリスクも無視できません.特に,ありふれた疾患の中に潜む珍しい波形や,微細な異常を見逃さないためには,医師自身が波形を読み取り,臨床状況と照らし合わせて「考える力」を持つことが不可欠です.さらに心電図は単に診断名をつけるだけでなく,心臓病の病態に関する重要な情報を提供してくれます.心臓病の治療は緊急を要するものも多く,また薬剤や診療機器(デバイス)など多様な治療手段が利用されます.その判断には心電図診断が大きな役割を果たしてくれます.
AIはあくまで補助的なツールであり,最終的な診断と治療の責任は常に医師にあります.だからこそ,私たちには自らの目と知識で確かめる姿勢が求められます.心電図は,患者の心の声を静かに語る「電気の言葉」です.その声に耳を傾け,正しく読み解く力を身につけることが,医療者としての責務であり,適切・迅速な診療の第一歩となるのではないでしょうか.
本書は,北島敦先生が自ら経験された多数の日常遭遇する実例や稀な症例を通じて心電図診断の神髄が込められた良書です.心電図の初学者である医学生や研修医から,日々の診療で心電図を活用するエキスパートまで,幅広い読者を対象としています.単なるパターン認識にとどまらず,「なぜそう診断できるのか」「どのような鑑別が必要か」「どのように治療を考えるか」といった思考のプロセスを重視し,読者が自らの判断力を養えるよう構成されています.読者諸兄の座右の書となることを祈念しています.

2026年2月
榊原記念病院院長/東京科学大学名誉教授
磯部 光章





謝 辞

成人の先天性心疾患(Case6,23,24,36)の心エコー所見,治療方針について貴重なご意見を賜りご教示くださった諸先生方のお名前を挙げさせていただきます.
紙面をお借りして厚く感謝の意を表します.

山田博胤 先生(徳島大学循環器内科教授)
森 一博 先生(末広ひなたクリニック)
米原恒介 先生(長野県立こども病院循環器小児科医監)
瀧聞浄宏 先生(長野県立こども病院循環器小児科部長)

診断と治療社から,1枚の心電図をみて読者が判読しながら考えて診断に至る思考過程を学ぶ書籍を企画・ご提案いただき,構成案に基づき多大なるご助言,ご支援,ご協力のもと本書の刊行に至りました.
終始,編集や構成にご尽力いただいた編集部の方々にこの場をお借りして心より深甚なる謝意を表します.

2026年2月
北島 敦

目次

カラー口絵
推薦の言葉 磯部光章
謝辞
健診(検診)時に心電図を読むうえで知っておきたいABC

心電図ケーススタディ
Case01 反復性の動悸発作を認めた23歳男性
Case02 労作後に突然死した14歳男子
Case03 V2~V6で深い陰性T波を示した62歳男性
Case04 頻回で持続する動悸発作がみられた64歳男性
Case05 閉経後に動悸発作の増悪を認めた61歳女性
Case06 心雑音を指摘され受診した26歳男性
Case07 健診時に「RSR’型」「非特異的T波異常」と指摘された48歳男性
Case08 健診精検受診時に頻脈発作が確認された62歳男性
Case09 心雑音の精査を求めて来院した19歳女性
Case10 拡張期心雑音を認める66歳女性
Case11 ランニング中に急死した14歳男子
Case12 幼少期に川崎病に罹患した27歳男性
Case13 労作時狭心症状を認めた37歳男性
Case14 健診にて心室内伝導障害を示した12歳女子
Case15 健診にて軽度高血圧を指摘された57歳男性
Case16 日常的にアルコールの過飲がある56歳男性
Case17 胸部の重苦しさと呼吸困難で受診した45歳女性
Case18 自覚症状なく著明な深い陰性T波を示した70歳女性
Case19 動悸を自覚して来院した41歳男性
Case20 自動診断が急性心筋梗塞と診断した25歳男性
Case21 異常Q波,著明な陰性T波を示した62歳男性
Case22 めまい,身体の倦怠感を認めた80歳男性
Case23 会社健診で不整脈を指摘された47歳男性
Case24 学校健診で心電図異常を指摘された16歳男性
Case25 突然の息切れと胸部の重苦しさを自覚して来院した16歳男性
Case26 人間ドックで異常Q波と診断された55歳男性
Case27 健診で左軸偏位と診断された31歳男性
Case28 「V1~V3:QS型」との診断を受けた59歳男性
Case29 Ⅰ誘導でP波が陰性を示した62歳女性
Case30 全身倦怠感のある54歳男性
Case31 V1~V5誘導が陰性T波を示した65歳女性
Case32 右軸偏位と診断された33歳男性
Case33 V1,V2でST上昇を示した38歳男性
Case34 人間ドックで新たな心電図所見の出現を示した46歳男性
Case35 P波の消失を示した67歳女性
Case36 運動時呼吸困難を抱える17歳男性
Case37 健診にて「左軸偏位」との結果を受けた33歳男性
Case38 著明な洞不整脈を示す14歳男子
Case39~48:不整脈心電図トレーニング10問


参考文献・書籍
索引
あとがき
著者プロフィール
  

Columnもくじ
Column1 不整脈原性右室心筋症に特徴的な心電図所見
Column2 WPW症候群の概念
Column3 心臓電気軸
Column4 Brugada症候群の原因遺伝子
Column5 両脚ブロックの背景
Column6 右脚ブロック・左脚ブロックの臨床的意義
Column7 Osborn波
Column8 拡張型心筋症の際にみる心電図所見
Column9 ハイリスクなJ波症候群
Column10 低カリウム血症の心電図と基礎疾患4
Column11 心電図自動診断の精度
Column12 心臓電気軸を直感的に知る

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