株式会社 診断と治療社

【11月中旬刊行予定】 血管エコーで診る大型血管炎 GCA・TAK・PMR診療への応用

巨細胞性動脈炎,高安動脈炎,リウマチ性多発筋痛症などの大型血管炎は,早期診断・治療が予後を左右する重要な疾患です.本書は,近年注目される血管エコーを用いた大型血管炎診療を体系的に解説した実践書です.豊富な症例と画像をもとに,特徴的なエコー所見の捉え方から診断,疾患活動性評価,治療反応のモニタリングまでを詳述.EULAR・ACRなどの国際ガイドラインにも準拠.リウマチ・膠原病診療に携わる医療従事者必携の一冊です.
定価:
6,600円(本体価格 6,000円+税)
発行日:
2026/11/11
ISBN:
9784787827821
頁:
152頁
判型:
B5
製本:
並製
在庫:
在庫無し

序文

巻頭言

高安動脈炎(TAK)や巨細胞性動脈炎(GCA)に代表される大型血管炎(LVV)は,適切な診断と治療介入が患者の長期予後を大きく左右する疾患である.しかし,その診断は必ずしも容易ではない.発熱や全身倦怠感,体重減少,炎症反応高値などの非特異的な症状のみで発症することも多く,診断までに長い時間を要する症例も少なくない.LVV診療は長らく血管造影,CT,MRI,FDG-PET,さらには側頭動脈生検(TAB)を中心に発展してきた.一方で近年,血管エコーの技術革新は目覚ましく,炎症性血管病変を非侵襲的かつリアルタイムに評価できるモダリティとして急速に普及している.特にGCAでは,血管エコーは欧州リウマチ学会(EULAR)が推奨する第一選択の画像診断法として位置づけられ,診療の中心的役割を担うようになった.
血管エコーの最大の魅力は,ハローサインといった炎症所見を直接観察し,診断,疾患活動性評価,さらには治療反応性や再燃の兆候を継続的に追跡できる点にある.しかしながら,わが国においては頸動脈エコーや下肢血管エコーに関する優れた書籍は数多く存在するものの,LVVに特化した血管エコーの専門書はこれまで存在しなかった.撮像法,機器設定,所見の定義,画像の解釈,ほかの画像モダリティとの使い分けなどを体系的に学ぶ機会は限られており,多くの臨床医やエコー検査士が手探りで技術を習得してきたのが現状である.
本書は,そのような背景のもと企画された,日本初のLVVのための血管エコー指南書である.また近年注目されているGCAとリウマチ性多発筋痛症(PMR)の連続性スペクトラム(GCA-PMR spectrum disease)という新たな概念について,PMRの関節エコー撮像法も取り上げている.LVV診療における Window of Opportunity を逃さないためにも,血管エコーは今後ますます重要な役割を果たしていくであろう.本書が,血管エコー診療に従事する皆様にとって実践的な手引きとなり,一人でも多くの患者の早期診断と適切な治療につながることを願っている.
最後に,本書は日本初のLVVに特化した血管エコー専門書として企画された.診断と治療社に本書の意義と将来性をご理解いただき,出版の機会を与えていただいたことに深く感謝申し上げる.特に,編集を担当してくださった舘瑞恵氏,寺町多恵子氏には,企画立案から刊行に至るまで多大なるご尽力と温かいご支援を賜った.この場を借りて心より感謝申し上げる.また,日常診療や研究活動の傍ら,本書の執筆にも尽力してくれた当教室の間渕央子先生,三好雄二先生に心より感謝する.さらに,本書の作成にご協力いただいたすべての皆様に厚く御礼申し上げる.
2026年秋
山梨大学医学部リウマチ膠原病内科
病院教授
中込 大樹

目次

巻頭言  中込大樹
著者紹介
略語一覧
本書の活用ガイド

第1章 大型血管炎の臨床と画像診断の進歩
1 大型血管炎の診断  中込大樹
 血管炎の分類と診断
2 大型血管炎における画像診断の役割  中込大樹
 何を評価するのか?
 モダリティ別の評価
 各種診断モダリティによる活動性(activity)とダメージ(damage)評価
3 高安動脈炎と巨細胞性動脈炎の相違  中込大樹
 LVVに対するWindow of Opportunity
 TAKとGCAにおけるWindow of Opportunityの違い
 TAKとGCAの画像診断における違い
 TAKとGCAのダメージにおける違い
4 血管エコーの位置づけ  中込大樹
 GCAにおける血管エコーの始まり
 LVVの画像診断のためのEULARリコメンデーションズ
 LVVの分類基準における血管エコーの位置づけ
 GCAにおける側頭動脈と腋窩動脈病変の重要性
 TABの立ち位置

第2章 血管エコーの基礎知識
1 プローブの種類と適応  間渕央子
 プローブの選択
2 撮像設定  間渕央子
 撮像設定項目とその意味
 機器設定の種類:グレースケール法(Bモード法)
 機器設定の種類:カラードップラー法
 機器設定のポイントのまとめ
3 プローブの操作方法  三好雄二
 血管エコーで必要なプローブ操作手技
 プローブマークとモニター上のオリエンテーションマーク
 短軸像および長軸像の描出におけるプローブの向き
 LVVで検査する血管の表示方向

第3章 血管エコー所見の定義と評価法
1 血管エコーの主要所見  中込大樹
 血管エコーで何を評価するのか?
 GCAにおける血管エコー所見の定義
 正常血管壁
 ハローサイン
 コンプレッションサイン
 狭窄
 閉塞
 動脈硬化
 活動性病変とダメージ病変の違い
2 血管エコーのピットフォール  中込大樹
 ブルーミング
 フォルスハロー
 ヘアアーチファクト
3 血管エコーの測定方法,スコアリング  中込大樹
 血管エコーの計測方法
 血管エコーの評価
 スコアリング法


第4章 撮像法の基本
1 大型血管炎診断時に検査する動脈の選択  三好雄二
 スクリーニング検査の方針
 LVVの診断で検査する血管と分類
2 撮像法①:浅側頭動脈  三好雄二
 1.浅側頭動脈本幹
 2.浅側頭動脈前頭枝と頭頂枝
3 撮像法②:腋窩動脈  間渕央子
 1.腋窩動脈近位部(1st part)
 2.腋窩動脈中間部(2nd part)
 3.腋窩動脈遠位部(3rd part)
4 撮像法③:総頸動脈  三好雄二
 1.総頸動脈
5 撮像法④:鎖骨下動脈・腕頭動脈  間渕央子
 1.鎖骨下動脈・腕頭動脈
6 撮像法⑤:そのほかの末梢動脈:頭部
 1.顔面動脈  三好雄二
 2.顎動脈  間渕央子
 3.舌動脈  間渕央子
 4.後耳介動脈  間渕央子
 5.後頭動脈  三好雄二
7 撮像法⑥:そのほかの末梢動脈:頸部以下
 1.椎骨動脈  三好雄二
 2.大動脈弓・上行大動脈  間渕央子
 3.腹部大動脈  三好雄二


第5章 リウマチ性多発筋痛症の撮像ポイント
1 リウマチ性多発筋痛症の位置づけとGCA PMRスペクトラム疾患  中込大樹
 PMRとGCA
 PMRの立ち位置
2 リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチとの鑑別  中込大樹
 2012年EULAR/ACR PMR分類基準
 肩および膝の関節エコーによる分類基準の精度の向上
3 リウマチ性多発筋痛症の撮像ポイント:基本  中込大樹
 基本設定
 観察すべき部位 全体像
4 リウマチ性多発筋痛症の撮像ポイント:肩  中込大樹
 1.上腕二頭筋長頭腱
 2.肩甲下筋腱
 3.棘上筋腱
 4.肩峰下・三角筋下滑液包
 5.肩甲上腕関節
5 リウマチ性多発筋痛症の撮像ポイント:膝  中込大樹
 1.膝蓋上嚢
 2.内側・外側膝関節
6 リウマチ性多発筋痛症の撮像ポイント:股  中込大樹
 1.大転子,股関節
7 GCA PMRスペクトラム疾患の診断戦略  中込大樹
 モダリティによる診断性能
 GCA非合併PMRとGCA合併PMRの関節周囲炎の違い
 エコーによるGPSDの診断

索引

関連書籍

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